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【48G】小説『マジすか学園 -overture-』中巻



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166 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/23(水) 18:55:26.24 ID:ATxDeYgQ0
“戦争”が始まる。篠田麻里子が帰ってきたマジ女では、
生徒達がその話でもちきりだった。
それと同時に、学校を包む緊張感。
その話題の中心であるラッパッパの、大島優子、シブヤ、ゲキカラの3人。
対する1年(留年)の篠田、2年の浦野、大堀、折井。
両者には圧倒的な差があった。
それは、兵隊の数―
篠田が当時1年(留年する前)の頃、2年だった野呂と梅田の連合と互角に戦えたのは
篠田には力で従えた多くの兵隊がいたからである。
その頃の生徒達は今2年となって、篠田が戻ってくるのを待っていた。
そしてもう1人、篠田を待っていた者がいた。

「おかえり~、麻里子。」
2年の教室に入ってきた髪が長く背の高い少女。
教室には浦野達、そして綺麗に整列した生徒たちが一番後ろに並ぶ。
白いファージャケットがかけてある椅子に腰をかけた篠田麻里子が振り向く。
「トリゴヤか・・・・」
―“マジ女1年、トリゴヤ”―

「聞いて聞いて~。凄い1年がいるんだよ~。」
なぜだかとても楽しそうにそう言って篠田に駆け寄るトリゴヤ。
2年の浦野達はなんだこいつ?という目で見ていた。
トリゴヤと篠田は、同じ街で育った幼馴染。私立であるマジ女にトリゴヤが入学した
のは篠田がいたから。
そして篠田だけが唯一、トリゴヤの“秘密”を知っていた。
大堀が怪訝な顔つきでトリゴヤを見ている。
「なにこの子?弱そうな子ね。麻里子の知り合いかしら?」

篠田はその言葉を聞いて、不気味に微笑んだ。
「そうだな。ふっ、トリゴヤは確かに弱い。」

「なにそれ~、酷い~。」とトリゴヤが言った。
ガタッ席を立つ篠田麻里子。浦野達を見つめ、にやりと笑う。
「だが・・・・お前らはトリゴヤに勝てない。絶対に・・・」

そう言った篠田は、トリゴヤの方へと振り返ると
ガッとその頭を掴んで顔を近づけた。
―「籠れ。“鳥小屋”に。」―

「あそこは・・・・」
下を俯くトリゴヤ。
トリゴヤの頬を触り、覗き込むようにトリゴヤの目を見つめる篠田。
「やって・・・くれるよな?」

断れなかった。大切な友達だから。
「わかった・・・。」
そう言ったトリゴヤに、篠田は優しい顔を見せる。
すると椅子にかけてある白いファージャケットを手に取った篠田。
バッと袖を通し、椅子に座った。
「地獄を“視せてやれ”。まずは・・・・」

―「“ゲキカラ”からだ」―


167 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/23(水) 19:31:27.51 ID:ATxDeYgQ0
動き始めた篠田麻里子。そしてその仲間達。
マジ女最強の軍団が、最強の少女たち“ラッパッパ”を狙う―

たった3人のラッパッパ。大島優子、シブヤ、ゲキカラ。
最強の者たちがゆえに、彼女達には過信があったのかもしれない。
自分の強さに。

「篠田?余裕っすよ。そんな奴。なんなら私1人で潰してやりますよ。」
そう言って優子に笑みを見せるシブヤ。
ゲキカラもまた・・・・
「きゃははっ、優子さんの敵は・・・・私がぶっ殺す。」
首に手を当て、コキッと鳴らす。
「あぁ?ゲキカラ、やるのは私だ。邪魔すんじゃねーよ。」
シブヤがゲキカラの胸ぐらを掴み、睨む。

「シブヤ~。邪魔は・・・あんただよ?やるのは私。」
“優子さんに褒めてもらえる”ゲキカラはただ、そう思っていた。

“金色の椅子”に座っている優子。困った表情で2人を見ていた。
「まいったな~。篠田は多分お前らを狙ってくる。だから一緒にいろよ。」

「それは無理っすよ。誰がこんな奴と。」
バッとゲキカラから手を放し、部室から出ていったシブヤ。


168 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/23(水) 19:32:21.25 ID:ATxDeYgQ0
ラッパッパは出来てまだ日が浅かった。大島優子といえど、シブヤとゲキカラを
まとめるには手を焼いたようだ。
それが・・・“隙”だった。
背を向けゆらりと部室のドアの方へ歩いていくゲキカラ。
優子が心配そうな顔でその名を呼ぶ。
「ゲキカラ!・・・あぶねーと思ったらすぐ逃げろ。いいな?」

ピタッと足を止め振り返るゲキカラ。子供のように無邪気な笑顔。
「優子さん。私は、大丈夫だよ?・・・優子さんがいるから、私は負けない。」

そう言ってゲキカラは出て行った。
バサッと椅子の背もたれに背中を預け、天井を見上げる優子。
「大丈夫かな・・・あいつら。」
その時だった―
「うっ・・・」
視界が一瞬ぼやけた優子。ゆっくりと体を起こす。
また、視界が歪む。思わず下を向いてしまうほどの“歪み”。
サッと長い髪がその顔を隠す。
右手で額を押えた、冷たい床を見つめる優子。
―「なんだ、これ。・・・風邪かなぁ?」―


171 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/23(水) 21:32:50.61 ID:ATxDeYgQ0
“ザー”女子トイレで“割れた鏡”を見つめるゲキカラ。
破片が残った鏡に映る自分の姿。
“あの頃とは・・・違う。優子さんが救ってくれた。今の私には、「理由」がある”
瞼に残った傷跡を、なぜだか嬉しそうにそっと触れた。
優子の拳は、ゲキカラに大切な何かを残していた―
キュッと水道の蛇口を閉めたゲキカラ。
覚悟を決めた目つきに変えた。
“ガチャ”何者かによってドアが開いた。振り向くゲキカラ。

「あっ、ゲキカラさん!」

「あっ、“高柳”・・・だっけ?」
ゲキカラと席が隣同士だが、たまに学校に来てもほとんどゲキカラは
吹奏楽部の部室にいるため、初めて会った時から顔を合わしていなかった。
「あ、覚えていてくれたんですか?ありがとうございます。」

「・・・・敬語・・・使わなくていいよ。同じ1年なんだろ?」

「え?は、はい!!・・・あっ、」
思わず“はい”と言った高柳を見て、ゲキカラはふっと笑みをこぼした。
ゲキカラの優しい笑顔。
嬉しそうに高柳はゲキカラを見つめた。
「これ・・・買ってきたんです!メロンパン!」
やっぱり敬語を使う高柳だった。


172 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/23(水) 21:34:58.48 ID:ATxDeYgQ0
高柳の手には、サークルKサンクスのメロンパンがあった。
「ゲキカラさん来たら一緒に食べようと思ってたんです。」

「あ・・・・・・・、今はいい。気分じゃないんだ。」
一瞬物欲しそうな表情を見せたゲキカラだったが、それを我慢した。
「え…そんな。じゃあまた後で食べましょう!」

ふと何かにきづいた表情を見せたゲキカラ。
神妙な顔をして、高柳への態度を変えた。
「・・・・私にはもう近づくな。」

「え?どうしてですか?」

「・・・・いいから、今すぐ消えろ。」
その言葉の意味がわからずに、高柳は寂しそうにゲキカラの目を見つめた。
そういえば、皆が噂していた。2年の人とラッパッパで戦争が始まるって。
私の目の前にいるこの人は、そのラッパッパの1人。もしかして・・・・。
「ゲキカラさんは私を・・・」

何かを言いかけた時だった。
高柳の目に映った、ゲキカラの“険しい表情”。
ゲキカラが・・・叫んだ。

―「逃げろ!“明音”!!」―


174 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/23(水) 21:53:03.76 ID:1iFAO3Xz0
トイレでメロンパンは俺も断るー

175 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/23(水) 22:55:21.88 ID:00l++h50O
>>174
まあな(笑)
しかしやっぱおもしろいわ。ちゅりが敬語なのがリアルだわ
ゲキカラファンなだけに先にゲキカラなのは残念だけど、ゲキカラを倒せるのはトリゴヤさんが適任そうですかね。
そしてブラックさんの登場がまだ…ドキドキ…

176 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/23(水) 23:21:37.68 ID:vU3Ls/aF0
原作これでいいやん。ZEROこれで撮れよ。

177 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/23(水) 23:43:43.45 ID:ATxDeYgQ0
「え?」
高柳が背中に気配を感じ、後ろを振り返ろうとした。
“ドカッ!”何者かがバットを振り回し、高柳のこめかみに叩き込んだ。
ドサッと倒れた。こめかみから流れる血。
ゲキカラが血相を変えて駆け寄った。
「明音・・・!!しっかりしろ!」

「う・・・」
ゲキカラの腕に抱かれる高柳。“ゲキカラさん・・・”苦痛で顔を歪めながら
ゲキカラの目を見つめる。
怒りに満ちた顔で、ゲキカラは顔を上げた。その視線の先にいる者たち。
バットを持った2年が10人以上いる。
そして、嘲笑うようにゲキカラを見下ろす“浦野一美”。
「ゲキカラァ?お前にやられた鼻が、疼いてしかたねぇ。
 ・・・やっとてめぇを潰せる。」

浦野の言葉が聞こえたのか、ゲキカラの腕の中で高柳が
痛みで声を震わせながら言った。
「ゲキカラさん・・・さっき、私を逃がそうと・・・してくれたんだよね?」
高柳の目を見つめるゲキカラ。そのゲキカラの表情は喧嘩をしている時とは
まるで別人だった。狂気なんてものは、高柳の目に映らなかった。
「やっぱり・・・優しいですよ、ゲキカラさんは・・・・」
そう言って高柳は、にこっと微笑む。

高柳の腕を、自分の肩にかけるゲキカラ。
「・・・立てるか?」

「・・・はい・・・」
傷ついた高柳に合わせるようにゲキカラがゆっくりと立たせ、
この場所から出ようと足を踏みだす。後、数歩で廊下に出られる距離。
だがその目の前には、2人を睨みつけるように見ている2年がいる。
「逃がすわけねーだろ!!」
拳を向けた2年の1人。
“バシッ”とゲキカラの顔面にそれが叩き込まれる。
サッと長い髪が静かに音を立てた。
顔をあげ、静かにゲキカラが言う。

「・・・・それは、こっちのセリフだよ?逃げられないよ。私から。」


178 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/23(水) 23:47:28.69 ID:hcMMCF5B0
ゲキカラさんカッコイイ

179 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/23(水) 23:50:51.33 ID:xzTpnZAgO
ゲキカラ覚醒!

180 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/23(水) 23:52:50.55 ID:ew1n2O340
やっべ、ワクワクしてきた

181 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/23(水) 23:55:20.66 ID:1iFAO3Xz0
ゲキカラロックオン!

182 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/24(木) 00:11:37.87 ID:T5HWLiek0
ゲキカラの目は怒りに満ちていた。そう、逃げるわけなんてない。
その目を見て、2年の誰もがそれを悟った。
浦野が目で合図するように仲間に視線を送ると、すっと道を開けた。
2年が睨むなか、その道をゆっくりと歩くゲキカラと高柳。
高柳をそっと廊下の壁にもたらせ座らせるゲキカラ。
「ここで・・・待ってろ。」

「・・・・ゲキカラさん。」

「ごめんな?私のせいで・・・。すぐ、終わるから。」
そして、ゲキカラはゆっくりと立ち上がり、振り返る。
俯きながら、爪を噛む。
ゆらりと浦野達へと一歩、また一歩近づくゲキカラ。
「許さないよ?お前ら・・・・」

その不気味な姿に2年は、一瞬怯んだ。
だが浦野が叫ぶ。
「やれ!!」

“おらぁ”ゲキカラへとバットを振りかざした2年。
ガッと左腕でガードし、それを払うゲキカラ。
平然とした顔で何事もなかったかのように、
左腕をぷらぷらと揺らしながら、“キャハハッ”とゲキカラは笑った。
その生徒の胸ぐらを掴み、バシッとその左腕で殴り倒した。

怒りに満ちた目で、浦野達を睨めつけるゲキカラ。
ゲキカラは首に手を当てぐるりとまわす。
“ROCK”のネックレスが不気味に光った。
「てめぇら全員・・・・」
―「ぶっ殺す。」―

“誰かのために”に今、ゲキカラは動いた―


183 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/24(木) 00:17:49.78 ID:2InqqQE80
かっけえ!

184 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/24(木) 00:25:27.90 ID:VgdYzcjBI
ゲキカラさんイイね!

185 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/24(木) 01:36:06.90 ID:EmhUZu45O
ゲキカラさん…これが原因で学ランのときは助けたのか…

192 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/24(木) 10:33:49.50 ID:LQ8d3CBmO
ここまで一気に読んだw
続き気になる

197 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/24(木) 18:18:15.78 ID:T5HWLiek0
向かってきたゲキカラ、それと同時に浦野が叫ぶ。
「潰せ!!」
“おらぁ!!”一斉に襲いかかる2年。廊下の壁にもたれ、浦野一美が不気味に微笑む。
廊下には鈍い音、怒号、叫び声が響き渡る。
ゲキカラのその強さを身をもって知っている浦野。タイマンでは勝てない、自分自身それを痛感していた。だがいくら強くてもこの数には勝てない、そう思っていた。
それは“誤算”だった。
ゲキカラの強さは浦野の想像を超えていた。
“きゃははっ”
背中をバットで殴られるゲキカラ。
振り返り殴り倒せば、間髪入れずに次の敵がゲキカラを襲った。
流れる血を気にすることもなく、また殴り倒す。
ガッと背中を壁に打ちつける2年、そしてズルっと膝から崩れていく。
ゲキカラがその2年にとどめをさすように、顔面を狙って前蹴りを繰り出す。
“ドンッ”と音を立て廊下の壁にゲキカラの蹴りがぶち当たる。
「はずれちゃった。あははっ。」

床にしりもちをついたその2年は、その壁に当てたままのゲキカラの脚をそっと見る。
その蹴りは、廊下の壁に穴を空けていた。
“殺す・・・つもりかよ”躊躇のないゲキカラの蹴りが、恐怖に怯える顔に変えた。
声を上げ、後ずさるその2年。
ガッ、と足を壁の穴から抜くゲキカラ。パラパラと木片が落ちた。
振り返り、残る敵を睨めつける。
「次は・・・ダレ?」


199 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/24(木) 20:25:38.53 ID:LQ8d3CBmO
ゲキカラ△

200 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/24(木) 20:28:10.21 ID:T5HWLiek0
不気味に笑うゲキカラに2年が向かっていった。
壁にもたれながらそれを見つめる浦野、その目に映る仲間が倒れていく姿。
だがその表情にはまだ“余裕”が残っていた。
浦野には、別の“勝算”があった。
「“あいつ”・・・・おせぇな。」

カランっとバットが音を立てた。ゲキカラの周りに倒れた仲間の姿。
浦野の目の前に立っている者は、もうゲキカラしかいなかった。
ゲキカラが爪を噛みながら、ゆらりと近寄ってくる。
「この・・・バケモノが。この前の借り返してやる。」

頬に返り血をあび、額と唇から血を滲ませながら不気味に微笑むゲキカラ。
浦野の言葉に足を止め、首をかしげながら“きゃはは”と笑った。
「あんた・・・“ダレ”だっけ?」

その言葉に浦野は眉間にしわを寄せ拳を握り締めた。
「てめぇ・・・・。先輩の名前くらい・・・・覚えとけよ!」
“オラァ!!”
ゲキカラに向かっていった浦野。
“グシャ”と床に落ちていたメロンパンが踏みにじられた―


201 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/24(木) 20:48:02.61 ID:T5HWLiek0
その浦野の拳を避ける様子もなく、ゲキカラの顔面に叩き込まれる。
にやりと笑ったまま、ゲキカラが殴り返す。
そのゲキカラの拳は、ザッと浦野の体を床に転がした。
そしてまた声を上げ向かっていく浦野。
ゲキカラの制服を掴み、何度も膝蹴りを腹に叩き込む。
体をくの字に曲げ、俯くゲキカラ。ドカッ、ドカッと鈍い音が鳴る。
だがそれでもゲキカラは不気味に笑った。

浦野の髪を掴み、顔面に拳を入れる。掴んだまま離さない。
ガクッと一瞬膝が崩れそうになった浦野。
それを叩き落とすように、ゲキカラの拳が振り下ろされた。
床に手を着き、立ち上がろうとする浦野。

ゲキカラがとどめをさそうと拳を上げた―
顔を上げた浦野が、にやりと笑った。
“タイマン”で勝つつもりはなかった。

―「・・・・おせぇ、“トリゴヤ”」―

背後に気配を感じたゲキカラが振り向く。
耳から羽の様なピアスを下げ、真っ赤な髪を茶色い髪に混じらせた少女が立っていた。
冷たくなるような白い肌、心が闇に染まる様な暗い瞳。
“トリゴヤ”が、ゲキカラに微笑みかける。

敵―その笑みを見てゲキカラは一瞬でそれを悟った。
ゲキカラの腕がピクッと動いた瞬間。
“ガシッ”とゲキカラの頭を掴んだトリゴヤ。
スッと目を閉じ天井を見上げる様に顔を上げた。
そしてゲキカラを視る、その暗い瞳。
トリゴヤが言った。

「見えた。」―


203 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/24(木) 22:34:07.83 ID:jKCGj1c9O
どうなるどうなる

204 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/24(木) 22:38:14.17 ID:T5HWLiek0
ゲキカラの耳元で何かを囁こうとしたトリゴヤ。
「・・・・・・あれ?」
“バシッ”トリゴヤが何かを言おうとする前に、ゲキカラの拳がとんだ。
ザッと床に倒れるトリゴヤ。
トリゴヤのサイコメトリー。その能力でゲキカラの“今”の頭の中を視たトリゴヤ。
確かに・・・それは見えた。
「優子さん」とほんの少し「メロンパン」が―

「こいつ・・・頭の中ほとんど大島優子しかない・・・」
トリゴヤが殴られた姿に浦野が戸惑いの表情を見せる。
「お前・・・やっぱり弱いじゃねぇか!」

何をされたのか気付いていないゲキカラが、ゆらゆらとトリゴヤに歩み寄る。
「邪魔するなよ・・・?」

だがトリゴヤはにやりと冷たい微笑みを見せた。
その手の中にある、“ROCK”のネックレス。それを強く握り締めトリゴヤが言った。
「見えた・・・」
そして、ゆっくりとトリゴヤは立ち上がり、目の前に立つゲキカラを見て囁く。
「1人になるのが・・・怖い?」

その言葉にゲキカラは戸惑う。
「なに・・・言ってる?」

「ふふっ、もっと見てあげる・・・」
サッとゲキカラに接近したトリゴヤ。ゲキカラの頭を掴み、“過去”を視る。
その耳元で囁く。暗く、冷たい声で。
「お母さんを殴らないで・・・」


205 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/24(木) 22:41:36.26 ID:T5HWLiek0
その言葉がゲキカラの脳裏に、過去の記憶を無理矢理よぎらせる。
過去―心の奥底に眠っていた幼い頃の“自分”が見えた。
いつからだろう?私が何も感じなくなったのは。ああ・・・そうだ、この頃かもしれない。
小学生の頃の私だ。
家に帰りたくなかったな・・・だってお母さんが泣いているから。
お母さんを殴る、私のお父さん。私がいくら叫んでも止めてくれなかった。
私が止めようとすれば、お父さんの“敵”は私に変わった。
痛くて、悲しくて、毎日私は泣いていた。
けど、我慢するしかなかった・・・そこが私の“居場所”だったから―

ゲキカラの異変に気付いた高柳が叫んだ。
「ゲキカラさん!!」

浦野が高柳の所へ歩みよりドカッと殴り倒す。
「てめぇは黙ってろ。」

「ゲキカラ?・・・私の名前は・・・」
ゲキカラが虚ろな顔をして呟いた。体から力が抜けたように、膝から崩れ落ち
床にしゃがみこんだゲキカラ。

トリゴヤがまた耳元で囁く。
―「松井・・・玲奈」―

その瞬間、ゲキカラの目から涙が零れた。俯き、床を見つめるゲキカラ。
記憶の断片が、零れ落ちた涙に映る。


207 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/25(金) 00:55:32.53 ID:UYtYQbLG0
「玲奈!!」私の名前を呼ぶお母さん。
私を抱きしめながら、何度も私の名前を呼んでいた。
私の額に触ったお母さんの手には、真っ赤な血が付いていた。
お父さんの手には血がついた灰皿。
私の“額”から流れる血。
そう、この時には私はもう痛みを無くしていた。
お母さんに抱かれて・・・・私は泣きながら微笑んでいた
優しかったお母さん。私とお父さんを残して先に出ていった人。
それから人が変わったように優しくなったお父さんも、結局私を残して出ていった。
私は1人になった。居場所を無くした。
だから失うモノなんて何もなかった。過去なんてものはいらない。
“玲奈”という名前を忘れる様に喧嘩に明け暮れた。
全てを拒絶するように誰かを殴った。
悲鳴を上げるほどの痛みを与え、真っ赤な返り血を浴びる私は、
いつからかこう呼ばれるようになった。
“ゲキカラ”―と。

俯いたままのゲキカラ。編み込んでいた髪はほどけ額と瞼の傷を隠していた。
固く握られていた拳はいつのまにか開かれ、冷たい床を手の平で触れていた。
戦う力なんてもうどこにもなかった。
その姿を見下ろすトリゴヤが不気味に微笑む。
「堕ちた・・・」
トリゴヤは手に持っていた“ROCK”のネックレスをゲキカラの膝に投げた。
「返してあげる、もう必要ないから。」
そう言って浦野に視線を送ることなくトリゴヤはその場から去っていった。
浦野が落ちていたバットを拾った。
ゲキカラの目の前に立ち、グリップをぎゅっと強く握った。
ゆっくりとバットの先を天井へ向ける。
「私の・・・“勝ちだ”。」
それがゲキカラの頭へ振り下ろされた。
“ドカッ”
声を上げることもなく冷たい床を全身で触れるように、
ゲキカラはうつ伏せに倒れた。
“カラン”投げ捨てたバット。カラン、カランと音が鳴りやがて止まった。
廊下には静けさしかなかった。
そこに立っているのは浦野ただ1人。
倒れた2年、高柳、そしてゲキカラを残し浦野は廊下の奥へと歩いていった。
気を失っていた高柳が目を覚ます。
その目に映るゲキカラの姿、廊下には高柳明音の慟哭が鳴り響いた―


208 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/25(金) 01:03:56.01 ID:Vfkn+ssN0
サドがトリゴヤを対前田に利用しようとした時の、優子
の慌てぶりとつながるね。ゲキカラを倒したんだから。

209 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/25(金) 01:17:25.24 ID:UYtYQbLG0
>>208
病室でのシーンですよね。懐かしい・・・

210 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/25(金) 01:58:07.46 ID:zphv0zLb0
あのゲキカラが倒されるってのも新鮮な展開ですね
力で負けるならともかく、トリゴヤの特殊能力で精神的に追いつめられて負けるなら納得も出来るしな
まあこのままで終わらず復活して反撃してほしいけどね

218 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/25(金) 19:21:55.49 ID:zEXUO/nhO
期待アゲ
読みやすくて、すき

220 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/25(金) 20:08:31.04 ID:UYtYQbLG0
見知らぬ天井―ゲキカラが目覚めた時には、そこはもう病室だった。
ゲキカラはゆっくりと上半身を起こし、額を押さえた。目を瞑り俯く。
悪い夢から覚めた時のような気分の悪さ。
“ガチャ”病室のドアが開いた。
花を添えた花瓶を抱えた高柳が喜びに満ちた表情で入ってきた。
だがその頭には包帯が巻いてある。高柳の怪我もまた軽い怪我ではすまなかったようだ。
「ゲキカラさん!!良かった・・・」

「・・・明音、悪かった。守れなくて。」
ゲキカラが下を俯いたまま言う。教室で暴れていたような“あのゲキカラ”とは
別人のようだった。マジ女の制服を着てないゲキカラは、
どこにでもいる普通の少女に見えた。
高柳はそのゲキカラの姿に少し戸惑うが、“私は大丈夫”というように
すぐに微笑みを見せた。
それが自分にできる事だと思ったからだ。今ゲキカラに必要なものは、休息。
高柳もまたマジ女の人間。負ける事がどれだけの悔しさか理解しているつもりだった。
ゲキカラの下へ歩み寄る。
「優子さんとシブヤさん、すぐに病院に駆けつけて来てくれたんですよ。」

「優子さんとシブヤが?・・・」
俯いていたゲキカラが顔を上げ振り向く。

「はい。血相を変えて先生に“ゲキカラは大丈夫なんだろうな!?”
 って、凄い剣幕でしたよ。優子さん。
 シブヤさんも“てめぇ助けなかったらただじゃおかねーぞ!!”って。」

優子とシブヤの口調を真似して、微笑みながら高柳は言った。
まるでその場を明るくするように。
その高柳の気持ちを察してか、ゲキカラもふっと笑みをこぼした。
「ははっ、そっか・・・2人はもう帰ったのか?」

「待合室のソファーで横になって寝てますよ。
 たまに家に帰るくらいで、ゲキカラさんに三日間ほとんど付きっきりでしたから。」

「三日も私は寝ていたのか・・・。」
2人に会いたい。その思いがゲキカラを動かす。
ベッドから降りようと片足を下ろした。“あっ”と言って高柳はゲキカラを止めた。
「寝ていてください。私が呼んできますから。」
そう言って高柳は花瓶を棚に置き、病室から出ていった。


225 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/25(金) 22:28:56.03 ID:UYtYQbLG0
そこの棚にはあの“ROCK”のネックレスがあった。
ジャラっとそれを手に取るゲキカラ。
トリゴヤに見せられた記憶が断片的にまだ残っていた。
いいようのない寂しさが心を包む。
理由のある喧嘩で負けてしまった、勝つべき相手に勝てなかった。
ゲキカラと呼ばれるようになってから、身に着けるようになったこのネックレス。
ゲキカラにとってそれは、過去との決別を意味したネックレスだった。
だがその過去に囚われ、負けてしまった。ゲキカラは自分を責めた。
まだこのネックレスを着ける事はできない。
そして手の中にあるネックレスをそっと棚に置いた。
そのゲキカラの耳に聞こえてくる廊下を走る足音。
どんどん近づいてくる。
2人に、会いたかった―
「ゲキカラ!!」

優子の笑顔がゲキカラの瞳に映った。
そしてその後ろにはシブヤ、その表情は満面の笑みというより少し口角をあげた微笑。
クールなシブヤらしい“笑顔”だ。
駆け寄る優子、その後ろをゆっくり歩くシブヤ。対照的だ。
ベッドのすぐ隣にあった椅子にガッと勢いよく座った優子。
シブヤはなぜか立ったままでいる。

「良かった~!マジで心配したじゃねーか!
 目覚めなかったらあの医者ぶっ飛ばすところだったぜ。」
優子が笑いながらそう言った。病室だという事も気にせず、声が大きい。
そんな優子にゲキカラも笑みを見せた。いつもの優子の姿を見て、
日常に戻ったことを実感するような安堵の笑み。
「心配かけて・・・ごめんなさい。」とおとなしい声で応えたゲキカラ。

そのゲキカラの姿がどこか勘に触ったのか、見つめていたシブヤが
静かな口調で言う。
「ちっ、らしくねぇ。そんな事言うガラじゃねーだろ。」

「シブヤ・・・・」
ゲキカラがシブヤと目を合わせる。互いにふっと笑みをこぼした。
シブヤらしい言葉にゲキカラは思わず笑った。
「ははっ、確かに・・・そうだな。」

優子はそんな2人をどこか嬉しそうに見ていた。
普段は仲の悪いゲキカラとシブヤだからこそ、2人のその姿が嬉しかった。
いつか2人が喧嘩をすることになっても、こうやってまた共に笑う日が来る。
優子はふと、そんな事を考えていた。


227 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/25(金) 23:25:27.45 ID:UYtYQbLG0
優子の視界に入ったチェーンが切れた“ROCK”のネックレス。
一瞬険しい表情をした優子だが、すぐにゲキカラの方へ振り向き微笑んだ。
「ゲキカラ、お前は寝てろよ?うちらの事は気にすんな。ぜってーぶっとばしてやる。」

ゲキカラがはっと何かを思い出したような顔つきで優子とシブヤに言った。
伝えなければならない。あの“トリゴヤ”の不思議な能力を。
「気を付けて!赤い髪をした奴に!私は・・・そいつに頭の中を見られた気がする。」

「頭の中?なんだそれ?・・・・まぁそんなの関係ねーよ。ぶっとばしてやるよ。
 超能力だかなんだかしらねーけど。」
ゲキカラが嘘を言うとは思えない。信じていないわけでもない。
ただ優子はあまり深く考えていなかった。それはシブヤも同じだった。
ゲキカラに背を向けたシブヤ。
「優子さんと私だけで充分なんだよ、あんな奴ら。てめぇはそこで寝てろ。」
そう言って病室のドアの方へと歩いていくシブヤ。

優子も椅子から腰を上げ「じゃあ、行くからよ。」と言って背を向けた。
それを見ていた高柳が2人に声をかけた。
「え?もう行っちゃうんですか?」

ピタっと足を止めたシブヤと優子。
シブヤは背を向けたまま、そして優子が振り返る。
「ああ。もう目ぇ覚ましたから大丈夫だろ。こいつは“ゲキカラ”だぜ?
 ・・・・だろ?ゲキカラ。」

ゲキカラがその言葉に笑顔で応える。
「はい。」
そう。ゲキカラには充分だった。2人の顔を見れただけで。
過去なんて関係ない。私には“今”がある。私はもう“1人”じゃない。
そう思わせた。
ゲキカラのその笑顔に優子も微笑み返す。
背を向けながら手を振り、「じゃあな~!」と言って明るく出て行く。
そして“バタッ”とドアを閉めた―
シブヤと優子は廊下に出た瞬間、ぎゅっと拳を握り締め険しい表情に変えた。
「ぜってぇ・・・許さねぇ。」
前髪を右手でかきあげ、怒りに満ちた鋭い目つきに変えた優子は、
足を前へと進めた。
シブヤもまた同じ目をしながら、優子の隣を歩きピンクのグローブをギュッと着けた。
「私が・・・ゲキカラの仇とってきますよ。」


247 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/27(日) 01:04:27.90 ID:kSTXLA1A0
シブヤは横に並ぶ優子の顔をそっと見た。
この鋭い眼光、以前にも見た事があった。矢場久根に囲まれたシブヤを助けに来た時。
優子はあの時と同じ目をしていた。
シブヤはその目を見て何かを感じた。優子の事だ。考える事はわかっている。
「・・・1人で行くのは無しっすよ。私だってムカついてますから。」

しばらく黙っていた優子は急におどけた様子をシブヤに見せた。
「あっ、バレた?なんだよ~良くわかったな。」

優子が和ませようと笑顔を作っていたのはシブヤもわかっていた。
その後ふと見せた優子のマジな顔。笑顔の裏に激しい怒りが在る事を感じた。
階段を下りる優子とシブヤ。優子の2段ほど後からシブヤが歩く。
優子のその小さな背中を見つめていたシブヤ。
その小さな背中が、よろめく―
「優子さん!!」

思わずシブヤが叫んだ。
ガッ、と手すりに掴まった優子。
「ははっ、あぶね~」と言ってシブヤに微笑む。
そしてまた何事もなかったかのように、階段を下り始める優子。
「足滑っちまったよ。ははっ、これ。」
そう言って踵を潰したローファーでぺたぺたと床を踏み音を立てた。
シブヤもふっと笑みをこぼし、胸をなでおろした。
「ロンスカ踏んだのかと思いましたよ。よくそんなんで喧嘩できますね。」

「ばーか。このほうが気合い入るんだよ。わかってねーなぁ~。
 お前もロンスカにしろよ。」

「・・・ホント無理っすよ。」
本当に嫌そうな顔をしてシブヤが言った。
優子が“あははっ”と背をシブヤに向けながら笑っていた。
その笑い声が静かな病院の階段に響いた。
そしてまた2人が階段を下りる足音だけが階段から聞こえた。
流れる沈黙。
2人とも心のどこかで思っていた。ゲキカラが誰かに負けるわけがないと。
優子をあそこまで追い詰めた、あのゲキカラが負ける姿なんて想像もしていなかった。
どれだけ殴られても何度倒れても、余裕の表情で立ち上がり最後には勝つ。
病室にいるゲキカラの姿を見て、それは自分達の身勝手な考えだったと気付かされた。
2人は同じ事を思っていた。“私が・・・あの時傍にいれば。”

高柳からゲキカラが襲われた時の状況を聞いていた優子とシブヤは自分を責めていた。
私が甘かった―優子はそう思っていた。
どこかで篠田を甘くみていた。そう、今までが順調過ぎたから。
シブヤに勝って1年のトップになり、3年の梅田と野呂にも勝った。
事実上マジ女の“てっぺん”であるラッパッパも復活させた。
今回もきっと勝てる。そう優子は思っていた。
それは“過信”だった。
“もっと私がしっかりしていれば・・・ゲキカラはあんな事にならなかった”
仲間がやられる“痛み”。そしてラッパッパ部長としての“責任感”。
篠田麻里子という敵を前にして優子は初めて知った。
マジ女の“頂点”として人の上に立つことの重さを―


248 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/27(日) 02:09:52.91 ID:8ZB2fezKO
盛り上がってきた

250 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/27(日) 03:22:18.43 ID:Ukpoyl/z0
最初から見てます!!
ある程度にゃんにゃんに頑張らせてあげてwww


251 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/27(日) 05:35:32.96 ID:Efl7YcavO
ちゅりが出番多くて嬉しい限り

266 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/28(月) 00:35:46.34 ID:Jzq1//+D0
すいません。今まで書いたマジすか創作の中で一番苦戦してますw

>>250 欠かせないです。
>>251 マジ女にいるちゅりを見たいですね。

そしてほしゅありがとう。

257 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/27(日) 16:58:19.88 ID:kSTXLA1A0
「シブヤ、次に狙われるのはお前だ。その前にあいつら潰すぞ。」
シブヤの前を歩く優子が背を向けたままそう言う。
シブヤからは優子が今どんな顔しているかはわからない。
わかることは、その拳を強く握りしめている。
シブヤが応える。
「はい。」

病院の出入り口に来た優子とシブヤ。
外はいつのまにか暗くなっていた。ドアが開き、外に出た2人。
優子が“よ~し!”と言って両手を上げ背を伸ばした。
するとシブヤの方へと振り返り微笑んだ。
「明日だな!やるか!何人いるかわからねーけど、まぁなんとかなるだろ!」
明るく振る舞う優子。状況は劣勢。誰が見ても、勝てるわけがない。
おそらくマジ女の誰もがそう思っているだろう。
だが優子を始め、シブヤ、そしてゲキカラ、当の本人達だけは諦めていなかった。

「・・・じゃあな。校門前で集合だ、お前ぜってぇー先に動くなよ。」
優子がそう言うと、シブヤが口角を上げ少し微笑みながら言った。
「その言葉そっくり返しますよ。」

「あははっ、確かに人の事言えねーか。」

「冗談っすよ。」
シブヤの笑みに、優子もまた笑顔で返した。
そして二人は病院近くの公園で別れた。
1人になったシブヤ。夜道を歩きながらゲキカラの事を考えていた。
初めは気に入らなかった。
私に喧嘩売ってきたと思ったら勝手にいなくなりやがった。
戻ってきたと思ったら教室でまた喧嘩していた。ホントにどうしようもねぇ奴。
ラッパッパに入ってきた時だって・・・。
優子さん優子さんうるさくてしょうがねぇ。子供みたいに甘えやがって。
今度は入院だ?ふざけんな・・・・
つまんねーだろうが。喧嘩相手のお前がいないと。
お前は負けてなんかない。“囲み”だったんだ、仕方ねぇ。
あれだけの人数1人で潰したお前は・・・やっぱりバケモンだよ。
「ゲキカラ・・・・。」
シブヤはゲキカラを認めていた。同じ1年として、ライバルの様な感情もあった。
そしてなにより、優子が復活させたラッパッパで初めてできた“対等”な仲間。
病室にいるゲキカラの前で平静を装っていたシブヤ。
その内心は胸が締め付けられそうなほど怒りに満ちていた。
「くそがっ・・・・」その怒りを込めるようにぎゅっと拳を固く握りしめる。
“ザッ”
そのシブヤの耳に聞こえた何かを踏む音。
後ろから聞こえた、足音だ。何人かいる。
シブヤが振り返った。マジ女の制服を着た生徒達が立っていた。
20人近くいるかもしれない。
そして一際目立つ少女がシブヤの目に映った。
白いファージャケットを着た少女が不気味に微笑む。
―“篠田麻里子”―

「シブヤ・・・だな?次はてめぇだ。」

「・・・・おもしれぇ。ルール無しってわけか。」
月が綺麗な夜だった―

258 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/27(日) 17:03:09.43 ID:R86iQBqo0
シブヤー!

259 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/27(日) 18:20:01.14 ID:6WsJ5/o60
シブヤくるで

264 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/27(日) 22:08:54.67 ID:AtDL+9sb0
来いよ篠田!お前から来いよ篠田ああああああああああああああああああああああああ

265 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/27(日) 23:57:16.20 ID:du1RxwWA0
シブヤさん逃げてー

267 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/28(月) 01:26:29.58 ID:CADqHuoi0
篠田麻里子後にサドと呼ばれる事になる

268 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/28(月) 03:11:10.34 ID:Jzq1//+D0
マジ女の集団の中で、1人だけ群を抜いた威圧感を放っていた篠田。
ファージャケットのポケットに手を入れたまま、不敵な笑みをシブヤに見せていた。
「ルール?少しは名の知れた奴が入ったかと思ったら・・・ずいぶんぬるい世界で
 喧嘩していたみたいだな?お前・・・・」

マジ女に居たらすぐに分かるであろうその存在感。
言葉を交わす前から、シブヤは気付いていた。

「てめぇが・・・・篠田麻里子か。」
その瞬間、篠田は笑みを消しその目つきを変えた。
敵意に満ちた鋭い眼光。
シブヤはその眼光に一瞬怯んだ。それが“答え”だった。
初めてだった、マジ女に来て誰かに“恐怖”を感じたのは・・・。
優子に会った時もゲキカラに会った時にも無かった感覚だった。
“こいつ・・・・”
それをかき消すように強く拳を握り締め、
ゆっくりとシブヤは身構えた。
篠田はその姿を見るとふっと笑みをこぼした、嘲笑うように。
「ははっ、シブヤ。そういう直感は大切にした方がいいぜ。逃がさねーけどな。」

「あぁ?何言ってんだよ?」
篠田を真っ直ぐ睨めつけるシブヤ。篠田以外の敵を見ている余裕なんてなかった。
時間がやけに長く感じる。
「しらばっくれてんじゃねーよ。お前・・・・ビビってんだろ?」

見抜かれていた―
「・・・・てめぇ!」
殴りかかろうと足を踏みだしたシブヤ。
だが篠田は不敵に笑みを浮かべたまま、背を向けた。
ザッと足を止めたシブヤ。
「ふざけんなよ・・・・逃げんのかコラァ!!」

背中を向けたまま振り返る事のない篠田。
「勘違いしてんじゃねーよ。どんな奴か見に来てやっただけだ。
 お前じゃ届かねーよ、私にまで。」
篠田の周りにいる2年が身構えた。
そして篠田の背を隠すように、2年の折井あゆみが立ちふさいだ。
シブヤが叫ぶ。
「お前が来いよ!篠田!!」

静かに篠田が言った。
「潰せ。」
その瞬間、折井と篠田以外の2年が声を上げシブヤへと向かっていた。
「上等だよ・・・・全員ぶっ潰してやる。」
シブヤもまた声を上げそれに立ち向かっていった。
―“おらぁ!!”―


275 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/28(月) 18:32:46.31 ID:Jzq1//+D0
“ドカッ!!”
正面から来た敵を殴り飛ばすシブヤ。
一発だった、ふっ飛ばされるようにザザッと音を立て地面に転がった2年。
思わず他の2年は足を止めた。倒れた仲間の姿を驚愕した顔で見ている。
走りながらの勢いをつけた拳とはいえ、
その小さな体から繰り出された拳で人がふっ飛ばされた。
シブヤが強い事は聞いていた。舐めていたわけでもない。
ただ、考えていたよりもシブヤの力は“上”だった。
普通―これだけの人数に囲まれたら臆するだろう、
シブヤは違う。中学からその拳で修羅場をくぐってきたシブヤにとって、
こんな状況は当たり前だった。シブヤは、“臆さない”。
ピンクのグローブがギュッと音を立てる。
首をコキっと鳴らしたシブヤ。茶色い綺麗な髪がサラッと風になびいた。
スッと身構えたシブヤ。
左手の甲を相手に見せ、細い指をクイッと2回動かした。
―「来いよ、先輩。」―

乱闘へと変わった。一瞬止まったその光景に篠田は振り返っていた。
「へぇ・・・アイツやるじゃねぇか。」
折井もシブヤの姿を驚いた顔で見ている。
「・・・みたいだね。」 
“おらぁ!”片手で敵の制服を引っ張り力ずくで転がすと、別の敵を払うように裏拳
で殴り倒す。殴られても睨み返し、ハイキックで敵を地面へと叩き倒す。
シブヤは前へと進む。
“ゲキカラ・・・・私が仇とってやる”思いを拳に込めて。

「どけよ!おらぁ!!」襲ってくる敵をひたすら殴った。
背中をドカッと蹴られたシブヤの体がよろめく。振り返り殴りつければ、また別の敵が
シブヤを襲った。
「邪魔なんだよ!!」そしてまた殴り返す。
振り返っていた篠田と目が合ったシブヤが叫ぶ。
「てめぇ・・・!篠田ぁぁ!!」―――

篠田は口角を上げにやりと笑い、そしてまた背を向けた。
「まぁ、いくらアイツが強くてもこの人数相手じゃもたねぇよ。」
シブヤを見ていた折井が篠田の方へと振り返った。
「私もいるしね。・・・・・あれ?“トリゴヤ”は?さっきまでいたのに。」

辺りを見渡す篠田と折井。トリゴヤの姿はない。篠田が眉間にしわをよせた。
「ちっ、少し目を離した隙に・・・アイツ、まさか。」――


282 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/29(火) 00:15:14.80 ID:F3wuLfiB0
シブヤ△の底力君が火を吹くぜ

295 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/29(火) 18:34:52.60 ID:ppo/n/H/0
姿を消したトリゴヤ。向かう先は1つしかなかった。
覚醒したトリゴヤは別の“敵”を追っていた。
―“大島優子”―
いつもなら人通りのある道だった。今日に限ってそこは静かな空間になっていた。
誰もいない夜道を歩く優子。
“ザッ”
背後から聞こえた足音に振り返った。
気付かなかった。ここまで接近していた事に。
冷たそうな真っ白い肌。耳には羽の様なピアスを下げている。
赤い髪の暗い瞳をした少女がすぐ目の前に立っていた。
「ふふっ・・・大島優子、視に来てあげたよ?」
静かな口調が、その言葉の不気味さを増していた。
優子は一目で分かった。“こいつがゲキカラの言っていた・・・”
「名前言えよ。お前はマジで許さねぇ。」

「“トリゴヤ”」

頭の中を視られた気がする、というゲキカラの言葉。
その言葉を信じていた優子は思った。
“どうやって?”
優子はサイコメトリーを知らなかった。
目を合わせたら駄目なのか、考えるだけでもう読まれてしまっているのか。
とりあえず・・・・優子は無になった。無心。何も考えない事にした。
そして思いきり殴った。
“バシッ”
ザザっと地面に手をつき倒れたトリゴヤは頬を切った。
そして顔を上げた。
「・・・・どいつもこいつもいきなり殴ってくんじゃねーよ!!」
口調が変わり、怒号を上げるトリゴヤ。

地面にしりもちをついたトリゴヤへとゆっくり歩み寄る。
「なんだよ。漫画みてぇに攻撃避けられるのかと思ったよ。よえーじゃねぇか。」

“ガッ”とトリゴヤの胸ぐらを掴んだ優子。トリゴヤを睨みつける。
「立てよ・・・。ゲキカラの仇とらせてもらうぜ。」
その瞬間、地面に手を着いていたトリゴヤの手がサッと動いた。
“ガシッ”引きちぎられた優子のネックレス。
目を閉じ夜空を見上げるように顔を上げると、優子に視線を戻した。
それは一瞬だった。
「見え・・・」
“バシッ”トリゴヤが何かを言おうとする前に優子の拳がとんだ。
「返せよ、それ。」
そしてまた地面に手を着くトリゴヤ。
その手には優子のネックレス。地面に滴り落ちる真っ赤な血。
その血を見ながらトリゴヤが不気味に笑う。
「・・げほっ・・・、ふふっ・・・あははっ、見えた・・・・見えたよ~。」

そしてトリゴヤが不気味に囁く。その暗い瞳で優子を見つめながら。
「返してほしいよね・・・だって、お母さんからもらったネックレスだから・・・」


297 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/29(火) 22:32:30.63 ID:ppo/n/H/0
「お前・・・・」
動揺の色を隠せない優子。その隙に立ち上がったトリゴヤが
耳元で囁く。
「みんな・・・いなくなっちゃった。」

天涯孤独―大島優子。幼い頃、父親は事故で亡くなった。
残された優子と2人の妹、そして母親。
だが母親も、しばらくして病気で亡くなった。
残された3人の姉妹が別々になるのは仕方のない事だった。
3人が別れる最後の日、母方の祖母から3人に渡された物があった。
同じネックレス。それは亡くなる前に母親が祖母に渡した物だった。
「強く生きて」それが優子達への遺言。
優子は祖母と一緒に暮らす事になった。
だが、その祖母も優子が中学の時に母親と同じ病気で亡くなった。
母親の遺言を守るように優子は本当の強さを求めた。
誰よりも強く、誰よりも“マジ”に生きるために―

優子の脳裏によぎる過去の記憶。
「なんで今さら・・・こんな事。」

トリゴヤが“ガッ”と優子の頭を掴んだ。
同じように目を閉じ顔を上げたトリゴヤ。
ネックレスにはない“記憶”を視ようとした時だった。
トリゴヤは確かに視た。違うモノを―

ここは・・・マジ女の体育館?
あれは・・・私、私がいる。私だけじゃない。
麻里子もいる。ゲキカラとシブヤ、もう1人見たことのない奴もいる。
どうして私達が一緒に・・・・。
皆泣いている・・・・誰かを見ている。誰を見ているの?
わからない。顔が見えない。
車椅子を押している・・・マジ女の生徒だ。
こっちに振り返った。眼鏡をかけている、わからない。会った事ない。
どうして私達は泣いているの?
車椅子に座っているのは誰?見えない・・・・。
あれは・・・桜の花びら・・・・。
消えていく、光の中へ―

「今の・・・なに?」
思わず優子の頭から手を放したトリゴヤは、困惑した。
自分の記憶にない自分の姿、そして“そこ”にいた見知らぬ誰かが視えた事に。
腰が抜けたように地面に座り込むトリゴヤ。
“私達は確かに泣いていた。どうして?・・・・”
ゆっくりと顔を上げ、優子を見つめるトリゴヤ。
“こいつだけ・・・「いなかった」。”


300 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/30(水) 00:04:30.30 ID:ppo/n/H/0
「お前・・・なんで泣いてんだ?」

「え?」

トリゴヤの目にはいつのまにか涙が溢れていた。
優子の顔を見ていると、なぜか言いようのない悲しみがこみ上げてくる。
トリゴヤはその涙の理由がわからなかった。
当然だった。トリゴヤが見たのは、未来だったから。

「なんでもないよ・・・・。」

「返してもらうぞ。それ。」
そっとトリゴヤの手からネックレスを取る優子。
「ゲキカラの言ってた事、やっぱり本当だったんだな。
 お前、頭ん中が見えるって事は見た奴の苦しみとか悲しみが・・・分かるって事だろ?
 それ・・・・しんどくねぇか?」

トリゴヤは何も言えなかった。事実だったから。
あまりにも強い思念は自分自身の精神が壊れる場合があった。
トリゴヤを見る優子の目には敵意なんてものはもうなかった。
まるで痛みを共感しようとするような、憐みを含んだ眼差しだった。
初めてだった。そんな言葉をかけられたのは。
何も言わないトリゴヤに少し困ったような表情を見せた優子。
トリゴヤに背を向けた。

「・・・ゲキカラの仇、取るんじゃないの?」

「お前はもういいよ。けど・・・もう使うな、その力。」
優子は背を向けたままそう言った。優しさを込めた声で。
地面を見つめるように俯いたトリゴヤ。“ごめん、麻里子・・・。私は・・・・”
涙を拭き、顔を上げた。
「・・・・あんたの友達のシブヤ。今囲みくらってるよ・・・」

「?!お前・・・・なんで?」
振り返った優子。トリゴヤは優子の目を真っ直ぐ見つめる。
「早く行ったほうがいいよ。病院の近く。」

「くそっ・・・・・・!」
優子は、すぐにその場から走り去ろうとした。
その背中を見つめていたトリゴヤ。
“私は・・・・この人に付いていきたくなった”

途中で足を止めた優子が振り返る。
「ありがとな!!」
そして優子は来た道を引き返そうと、急いでその場から走り去った。
“シブヤ・・・!!”―


301 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/30(水) 00:31:23.63 ID:Nropm3Vz0
優子おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
シブヤああああああああああああああああああああ


302 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/30(水) 03:13:16.68 ID:TTldFjPlP
トリゴヤ△

303 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/30(水) 06:58:40.38 ID:1R6a12ZWO
トリゴヤ(*´-`)

320 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/31(木) 00:06:01.57 ID:t/jx0TZO0
トリゴヤと優子が対峙していた頃。
篠田麻里子は1人、トリゴヤを探しに行っていた。
その途中。
前から来る灰色のセーラー服を着た集団が篠田を立ち塞いだ。
そしてその先頭に立つ茶色い髪をした生徒が篠田に微笑みかけた。
その生徒を睨みつける篠田。
「・・・大島麻衣。」

「誰かと思ったら・・・その顔忘れてないよ?篠田。あの時あんたが邪魔しなければ、
 潰せそうだったんだけどね。マジ女。」
そう言った大島麻衣へと歩み寄る篠田。
目の前に立ち篠田は不敵に微笑んだ。
「邪魔したつもりはなかったけどな?私の所に来た奴らがバカだったんだよ。」

「ああ、そうそう。お前にやられた奴らがうるさくてね。早く潰したいって。」

「へぇ?まぁ今は、“中”の事で忙しいからよ?後で相手してやる。
 そこ・・・どけよ。」
篠田が周りにいる矢場久根の生徒達を睨みつける。その眼光に怯む生徒達。
大島麻衣が仲間達に視線を送ると、さっと割れるように道ができた。
ポケットに手を入れながらそこを通る篠田。
大島麻衣が不敵な笑みを浮かべながら篠田へ話しかけた。
「“ラッパッパ”復活したんだって?大島優子に先越されたね?」

「・・・・今のラッパッパはまがい物だ。あいつらはもうすぐ終わる。」
足を止め、背を向けたまま話す。その背を見ていた大島麻衣は前を向き
足を踏みだした。そして呟く。
「・・・どうだろうね。」
その言葉に篠田は眉間にしわを寄せイラついた様子を見せた。
ゆっくりと振り向き、大島麻衣の背中を睨みつける。

「あぁ?なにか言ったか?」

「別に。まぁ頑張りなよ。どっちが残っても潰しに行ってあげるからさ。」
大島麻衣はふっと笑みをこぼした後、仲間達を引き連れ歩き出した。
「ちっ」と言って舌打ちをした篠田は再び前を向いて歩き出す。
ふと空を見上げた篠田の目に、綺麗な月が映った。
「満月か・・・」
その満月は、地面に倒れている生徒達を照らす。
そして未だそこに立っている者達も。

20人ほどいた折井の仲間は、シブヤによって半数近くまで減らされていた。
途中まで黙って見ていた折井は、シブヤに疲れが見えた頃に動いた。
もう潰れる寸前、タイマンで終わらせる・・・はずだった―

“ザッ”
地面に這いつくばった折井が手を着きながらゆっくりと
立ち上がる。顔に傷を作り血を滲ませた顔でシブヤの方へと振り返った。
「はぁ・・・はぁ・・・くそっ、今年の1年はどうなってんだ・・・・」


324 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/31(木) 05:47:08.61 ID:t/jx0TZO0
その目に映るシブヤの姿もまたボロボロだった。
豹柄のレッグウォーマーは泥と返り血が入り混じった様に汚れ、ピンクのグローブは
所々破け自分の血とも敵の血ともわからないほどに赤く染まっている。
敵に何度も引っ張られ型が崩れたセーラー服からは、
鎖骨がはっきり見え肩まで見えそうだった。
頬には痣ができ、唇や額からは血が滲んでいた。
だが、シブヤのその目は死んでない。
スッとスカーフを襟から抜いたシブヤ。
折井を睨んだまま右の拳にスカーフを巻いた。

「・・・・ここで倒れるわけにいかねぇんだよ。バ~カ・・・」
ゆっくりと腕を上げ身構えるシブヤ。
どう見ても限界だった。ラッパッパとしての誇りが彼女を突き動かしていた。

だが折井もまた、2年の幹部としての誇りがあった
タイマンで追いつめられた折井は、なりふり構わずにただ、勝ちに行く事を選んだ。
ねじ曲がった誇りは、喧嘩の一線を越えようとした。
ポケットから何かを取りだした折井。
一本のナイフが鈍い光を放つ。
「負けられねぇのは・・・・こっちも同じなんだよ。シブヤ・・・・」

「・・・・ダッセーな。だからザコなんだよ。」
シブヤはそれに怯む様子もなく顔色を変えなかった。

それまで2人のタイマンを黙ってみていた折井の仲間達の顔が青ざめていく
「・・・・あれ、マズいだろ・・・」
「誰か止めてこいよ・・・」
収まりのつかなくなった喧嘩に、彼女達は動揺を隠せなかった。
ナイフを手に持った折井の顔つきが、険しくなっていく。
脅しのつもりだった。
“これ”を見ても動じないシブヤの姿が、折井を本気にさせた。
「なんでビビらねーんだよ・・・・。何なんだよ、てめぇは!!」
“おらぁ!!”―

その瞬間、ナイフが宙に舞った。
シブヤが何かできる距離ではなかった。背後に落ちたナイフを驚いた表情で見つめる折井。
だがその手には確かに痛みを感じる。
シブヤの方へ振り向いた時だった。
誰もいないはずの背後に、人の気配を感じた折井。誰かが立っている。
その“誰か”が囁いた。

「もう一度探し出したぞ・・・・」

サッと振り返った折井、やはり誰もいない。
だが、シブヤの目には映っていた。
折井の背後に立っていた、マジ女の制服を着た少女の姿が。
“少女”がどこかで囁いた。

「何を?」

その声に反応した折井が、再びシブヤの方へと振り向く。
いた―銀色のロザリオを首から下げた黒髪の少女が。

「永遠を。」―

その場にいる誰もが驚きを隠せなかった。背中を見せる少女にシブヤが問う。
「誰だ?・・・・お前・・・」

―「柏木由紀。・・・助けてやる。」―


326 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/31(木) 06:42:49.74 ID:j+u40Mw40
ブラックキタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

327 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/31(木) 06:45:01.22 ID:dO85qfV20
柏木由紀来たああああああああああああ

348 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/01/31(木) 22:59:36.18 ID:t/jx0TZO0
シブヤの方へと振り向きそう言った柏木、その顔からは何も感情が読み取れない。
どこかで会った覚えもないシブヤは、怪訝な顔で柏木を見つめる。
“・・・・誰だこいつ・・・”

柏木はゆっくりと折井の方へ視線を戻した。
“助けてやる”その言葉で、手の痛みの理由を悟った折井が動く。
「てめぇ・・・、邪魔してんじゃねぇよ!!」
目の前に立つ柏木に拳を向けた折井。
その目に映った銀色のロザリオが一瞬揺れた―
“!?”
柏木の姿が視界から消え、その拳は空を切った。
「・・・また消えやがった・・・、どこだコラ!!」
後ろを振り返る折井。いない。辺りを見渡す。
“ドカッ”と鈍い音がシブヤの後ろから聞こえた。
折井の仲間が1人地面に膝を着け、腹を押さている。
その生徒を見下ろす柏木由紀。仲間達は驚愕した表情を浮かべながら後ずさりした。
ただでさえ、シブヤたった1人に追い詰められていたところに、
もう1人“敵”が増えた。彼女達は悟っていた、“勝てない”。
仲間の1人が柏木に背を向けようとしたその時。

「おらぁ!!」
声を張り上げた折井が仲間達を見つめる。険しい表情を浮かべながら。
「まさか・・・ここから逃げよう、なんて思ってないよな?
 勝つか戦って負けるかどっちかだろうが・・・・
 逃げる、なんて選択肢はマジ女にはねぇんだよ!!

逃げようとした仲間達は互いの顔を見ると、顔つきを変え柏木を囲んだ。
折井の言葉が彼女達に覚悟を決めさせた。
囲まれた柏木は、手に持っていた分厚い詩集をそっと地面に置くと
特に構える様子もなく、2年達を睨んだ。
「・・・・相手になろう。」
じりじりと敵が近づいているにもかかわらず、
この状況に焦る様子もない。まさに鉄仮面。

その姿にふっと笑みをこぼしたシブヤが、折井の方へ振り向く。
「道具に頼るただのダサ坊かと思ってたけど・・・・いい事言うじゃねぇか。
あのままだったらマジで幻滅だぜ、先輩方に。」

折井がシブヤを鋭い眼光で睨めつける。人数を集め1人を囲み、危なくなったら道具に
頼った折井。卑劣に思える彼女の喧嘩。だが、それは貪欲なまでの勝利への執念
が生んだ行動。そしてどんなに追い詰められても彼女は“逃げなかった”。

「それが私の“マジ”なんだよ。シブヤ!!!」

―“おらぁ!!”―
シブヤへと殴りかかる折井。そして柏木に一斉に襲いかかった2年。
再び乱闘が始まる。
満月の灯りの下で―


349 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/31(木) 23:14:03.68 ID:iVblccgO0
ブラック!

350 名無しさん@実況は禁止です 2013/01/31(木) 23:45:00.02 ID:m6bcwidQO
ブラックさんや!

353 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/01(金) 00:24:58.91 ID:zHlsSX+B0
シブヤさえ倒せばいい。ラッパッパはこいつ。
麻里子の命令は「シブヤを潰せ」。こいつを倒せばうちらの勝ち。
あんな奴はどうでもいい。アイツらがやられても後でぶっ潰せばいいだけの話。
私は・・・こいつを倒すだけでいい。それが私の“役目”。後少しで・・・終わる。
なのに・・・・どうして勝てない? 
どうしてこんなに・・・・強い?
“ガッ”シブヤに掴まれ膝蹴りを腹に喰らいながら、折井はそんな事を考えていた。
“おらぁ!!”バシッっと音を立て顔面に拳を喰らった折井は、
地面に手を着きながら顔を上げた。
シブヤが息を切らしながら見下ろすように、こっちを見ている―

ああ。こいつも私と同じなのか。立場は違うが・・・守りたい者がいる。
だからこいつは“倒れない”。
世代交代・・・・ってやつか?冗談言えよ。麻里子がせっかく戻ってきたのによ。
終われねー・・・。そうだよな?麻里子。

「・・・・2年の幹部、折井あゆみなんだよ・・・私はよ?」
ゆっくりと立ち上がる折井。気合い、シンプルに言えばそれだけだった。
今の彼女にふさわしい言葉はそれだろう。

シブヤの方に、ゆっくり振り向く折井。
「ちっ・・・。」

もう・・・避ける力なんてなかった。
やけにスローに見えるシブヤの蹴り。

“バシッ!!”―
シブヤのハイキックが、彼女を地面に叩き落とした。
うつ伏せに倒れる折井、立てなかった。
「ちくしょう…」地面の土を握り締める折井。

もう折井が立ち上がれない事を確認するように視線を残していたシブヤ。
折井に背を向け、乱闘を続ける柏木の方へと足を踏みだした。
ピタっと何かを思い出したようにその足を止める。
「そういや・・・私も自己紹介まだだったな?」
そう言って倒れた折井の方へ振り向いたシブヤ。

豹柄のレッグウォーマーに赤い靴。髪は茶色くピンクのエクステがやけに目立つ。
そして左手にはピンクのグローブ、右手にはスカーフが巻いてある。
紺のセーラー服には返り血と自分の血が所々付いている。

―「私が・・・・ラッパッパの“シブヤ”だ。」―


354 【ぴょん吉】 2013/02/01(金) 00:34:51.36 ID:tYqqHG8BO
渋谷△

355 名無しさん@実況は禁止です 2013/02/01(金) 00:39:57.01 ID:jNJmZLeG0
シブヤ△

356 名無しさん@実況は禁止です 2013/02/01(金) 01:00:56.32 ID:FgmWC/MXI
期待期待!

362 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/01(金) 07:12:20.77 ID:zHlsSX+B0
そしてまた前を向き、柏木の所へと歩き始めたシブヤ。
手に持っていたスカーフを襟首に戻した。
「あいつ・・・・何モンなんだ。」

“おらぁ!!”
柏木と2年の残党達。素早い動きで敵の攻撃を避けながら、敵に攻撃を加えていた
柏木は、苦戦していた―
その攻撃は一発で地面に手を着かせるほどの、決定的な打撃ではなかった。
次々に襲ってくるせいか、腰の入っていない拳しか出せないでいた。
それは、柏木にとっては意外だった。
“以前”の学校だったら、軽く殴っただけでも倒せた。
だがマジ女の生徒達は違う。一発では倒せない。

同じ敵に何度か攻撃を加え、やっと1人倒せるという状況だった。
それを繰り返し、9人いた残党は3人に減っていた。
残党である2年もまたマジ女の生徒。篠田が集めた兵隊は、手強かった。
サッと敵の攻撃を避け、別の2年の生徒の前に現れた柏木。
背後からその肩を掴まれる。
“バシッ”
拳を喰らったのは柏木の方だった。体をよろめかせ後ろを振り返る柏木。
「貴様ら・・・」
拳を加えた生徒が言った。
「次は・・・・そいつの前に現れると思ったよ。」
“ドカッ”その生徒が背中を蹴られ地面に手を着いた。
舌打ちをして後ろを振り返る。
シブヤが立っていた―
そして・・・・“おらぁ!!”という声と共に、柏木の近くにいた敵にとび蹴りをした
―大島優子―

「わりぃシブヤ!後何人だ?」
ゆっくりシブヤの方へと歩いていく優子。
「大島・・・・!」地面に手を着いた敵が振り向き優子を睨んだ。
シブヤと優子に蹴られた生徒2人が立ち上がり、柏木の前にいる生徒が
じりじりと近づく。
シブヤが優子の問いに答えた。
「後・・・三人っすね。」

優子が少し困惑した表情をしながら、周りを見渡す。
「あれ?“4人”じゃねぇのか?」

シブヤがその言葉にふっと笑みをこぼし、柏木の方へ振り向く。
「“そいつ”は・・・敵じゃないっすよ。」

「・・・・仲間ってわけでもないけどな。」
そういった柏木にシブヤと優子は笑みを見せ、柏木のところへ歩み寄る。
「あははっ、まぁよくわかんねーけど後3人だな。」

そして、柏木の背中を守るように立ったシブヤと優子。
シブヤ、優子、そして柏木は・・・背中を合わせた。
それぞれの前に立つ敵を睨む3人。

敵の1人が優子を睨みながら言った。
「大島ぁ?シブヤはもうボロボロだ。ゲキカラの奴も戦えない。
 てめぇの“ラッパッパ”は・・・・篠田さんに潰されるんだよ!!」
同時に声を上げ、3人に向かっていった2年の生徒達。
―“バシッ”―

一発だった。シブヤは蹴り倒し、優子は拳、柏木もまた拳でそれぞれの敵を
地面へと沈めた―


400 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/03(日) 00:50:43.37 ID:yZlhRgeG0
「柏木、だったか?ありがとな。お前に借りができちまった。」

「礼を言うのは私の方だ。結果的には私が助けられた。」
シブヤに背を向け、地面に置いた詩集を拾う柏木。
その頬にできたアザを見て、優子もなんとなく状況を把握した。
「お前、マジ女だろ?見た事ねぇな。」

「昨日“転校”して来たばかりだからな。」

「あ~だから知らねぇのか、病院にいたからな~。
 マジ女、びっくりだろ?喧嘩ばっかりでさ。」
優子がどことなく寂しげなその背中に、笑みをこぼしなが話しかけるも
「・・・別に。」と言って柏木はその表情を変えない。
汚れたスカートを手でパッパッと払い、どこかへ行こうと歩いていく柏木。
シブヤがその背中に向かって声を上げた。
「柏木!・・・お前、なんで私を助けた?」
ピタリと足を止めた柏木が2人の方へ振り返った。

「・・・・さぁなぜだろうな。」
柏木は多くは語ろうとしなかった。
最初は、助けるつもりなんてなかったから。
あの時シブヤを助ける前から、柏木は見ていた。
偶然そこを通りかかった柏木の目に映った“喧嘩”。
それは、1人を大勢で囲む“ボコり”。
たった1人でそれに立ち向かっている者は、自分と
同じ制服を着た少女だった。
興味本位で足を止め、柏木はそれを見ていた―

助けようという気持ちはなかった。
“私には関係ない。それに・・・。”
なにより柏木は、自分が助けるまでもないと感じていた。
圧していたのはシブヤだったから。
だが、その状況が一変した。
折井がナイフを取り出した時に、柏木に迫られた選択。

“アイツを助けるか?このまま見過ごすか?どうする?”―

以前の高校で罪を犯した柏木は喧嘩を止めた、はずだった。
「今回だけだ・・・・。」
自分に言い聞かせるように銀色のロザリオを握り締めた後、
柏木はシブヤと折井の所へと飛び出して行った―

“こんな詩を贈っても・・・誰かを傷つけた事に変わりはない。”
振り返った柏木の表情は、何かを抱えているような思いつめた表情をしていた。
だが優子とシブヤはあえて何も聞かなかった。それは“酷な事”だと思った。
「明日、学校で会えるんだろ?大島優子だ。よろしくな。」

「シブヤ。マジ女の1年だ。」

「お前達1年か・・・・。私もだ。」
そう言って柏木は・・・・

「あっ、消えた。」
優子が驚いた顔を見せると、柏木の声がどこからか聞こえてきた。

「月の満ちし夜、 再び現れる・・・・また会おう。」―

月の綺麗な夜に現れた柏木由紀はそう言い残し2人の前から
姿を消した。
だが次の日、普通に学校にいた。


409 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/03(日) 17:58:25.94 ID:yZlhRgeG0
―「あっ。」―
廊下で顔を合わせた優子と柏木は思わず声を揃えた。
「あははっ、なんだよ。昼間いるじゃねぇか。」

「あれは、詩だ。昨日の奴は?」

「ああ、シブヤか?学校に来るなって言ったけど、来そうだな、あいつの事だから。」

「そうか・・・。」
教室に行こうとした柏木の肩を掴む優子。
「なんだ?」と言って眉間にしわを寄せた柏木に、優子が神妙な顔に変え
て言った。
「お前はこっちだ。しばらく・・・私といろ。」

「・・・どういう事だ?」―
自分達の喧嘩に巻き込んでしまった柏木に、今のマジ女の事を話しておく
必要があった。間違いなく、柏木も篠田達に狙われる。1人にする訳には
いかなかった。
だが柏木は・・・・
「自分の身は自分で守る。」
そう言ってどこかへ消えて行った。彼女もまた以前の中学で最強を名乗っていた者。
素直に傍にいるような人間ではなかった。
「まいったな・・・こりゃ。」―

時を同じくして、とある私立中学校の屋上。
そこに立っている1人の中学生。制服の上からパーカーを羽織った黒髪の少女。
黒いタイツに“黒い”ブーツを履いている。パーカーのフードは被らず
その綺麗な黒髪が風になびいている。
屋上から、街の景色を眺めているその少女。
「ここは、退屈な学校だ。そう思いませんか?・・・・“先輩”。」

後ろを振り返るその少女。
彼女の目に映る、同じ制服を着た生徒達。
皆、顔に傷を作り消えそうな呻き声を上げていた。
唇に血を滲ませながら、生徒の1人が顔を上げた。
「私達の負けだ・・・・・・お前がここで、一番“強い”。」

黒髪の少女が不敵に笑う。片足を上げながらタッ、タッ、と二回跳び
・・・・パッと両手と両足を同時に広げた。
「手に入れたら・・・つまらないものでしたよ。“てっぺん”」

そう言って少女は倒れた生徒に微笑みかけた。
「偏差値低いもの同士で争えばいい。お返ししますよ。」

「てめぇ・・・・“渡辺”・・・」

「あははっ。」
無邪気に笑いながら、少女は屋上のドアを開き階段を下りていった。
ポケットに手を入れながら、廊下を歩くその少女。
廊下には楽しそうに友人と話している生徒達がいた。
少女の姿に気が付いた生徒達は、こそこそと話しながら道を譲った。
少女の耳に聞こえてくる“父親”の話。聞こえないフリをして、そこを通り過ぎる。
1人で廊下を歩く少女の姿は、どこか寂しそうだった。

“何をしても・・・満たされない。”

渡辺麻友、この時中学2年。全国トップクラスの学力をほこり、父親は有名政治家。
そして屋上に倒れた生徒だけしかしらない、この中学の“最強”。
―のちの“ネズミ”である―


411 名無しさん@実況は禁止です 2013/02/03(日) 18:30:21.07 ID:KIX6b6kO0
超大作になりそうやな

435 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/04(月) 21:20:44.00 ID:ndoSyaUJ0
一見、真面目そうなこの美少女“ネズミ”。
天才である彼女は、この頃からすでに周りにいる中学生との価値観の違いを感じていた。
全てにおいて、自分が勝る。本気になる事がなかった彼女。
だがこの数年後、この孤独な天才は、生まれて初めてマジになる。
同じ目をした孤独な最強と戦う事で。
そしてその拳を交わした相手は彼女の無二の親友となり、
2人はマジ女のてっぺんを取る事になる。
そんな2人がマジ女で出会ったのは、偶然ではない。
2人が同じマジ女に進学した事も、紙ヒコーキを飛ばしそれを“センター”が拾った事も。
ネズミにとっては必然だった。

のちにネズミは語る。
―「世界は私の掌の中に在るのさ。」―

そしてその2人がてっぺんをとる前の馬路須加女学園では・・・・
教室に集まる2年の生徒達。そこにいる浦野、大堀、そして篠田麻里子。
教室の窓から校庭を険しい表情で見つめる篠田。
昨日の出来事が篠田の耳に入った事で、そこにいる2年達の間には
重く張りつめた空気が漂っていた。
昨日、トリゴヤを探しに行った篠田は
病院近くの道端でその姿を見つけた―
「トリゴヤ!」

「麻里子・・・」
振り返ったトリゴヤ。その姿は覚醒が解け、元の姿に戻っていた。
そして彼女の顔にある傷を見て、篠田はある程度の検討がついた。
「大島優子に・・・負けたのか。まさかお前が・・・」

「ごめん・・・・本当にごめんなさい。」
篠田の顔を見て、急に泣き出したトリゴヤ。
勝手に動いてしまった事を悔やんでいる涙。篠田はそう思った。
だがその涙の理由は、別にあった。
「私は・・・麻里子を“裏切った”。」

「え・・・?」
予想もしていなかった。裏切る。篠田にとってそれは、意外な言葉だった。
「どういう事だ・・・?トリゴヤ・・」

「・・・・私は、大島優子に麻里子達の居場所を教えたの。」

「お前・・・なんでそんな事?」

「・・・・こんなやり方やっぱり良くないよ。数で攻めてあいつらに勝ったとしても
 それは、マジ女の本当のてっぺんとは違う気がする。」
涙を零しながら、篠田の目を真っ直ぐ見て訴える様にトリゴヤは言った。
居場所を教えた事に対して篠田は怒りを感じる事はなかった。
ずっと今まで一緒にいたトリゴヤが、自分を否定した事に胸が締め付けられた。
「トリゴヤ・・・・」
 
「それに・・・私に言ったんだあいつ。力を使うのしんどくないかって。
 見ていたのは、私じゃなくてあいつの方だった。
 勝てるわけないよ。初めてだもん・・・そんな事言う奴さ。」

「お前・・・・そこまで・・・。」
周りに多くの舎弟を引き連れるようになった篠田は、いつのまにか見えていなかった。
トリゴヤの事が。
篠田に背中を向けたトリゴヤ。
「ごめんね・・・。私はもう戦えない。」
と言葉を残して篠田から少しずつ離れていった。
篠田はその背中をただ、黙って見ている事しかできなかった―


467 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/06(水) 01:04:14.68 ID:0eusFtFB0
校庭を見つめる篠田の脳裏をよぎる、離れていくトリゴヤの背中。
“私は・・・・今まで何を見ていた?”
トリゴヤの言葉が篠田の心を葛藤させた。
その篠田の近くにいる大堀がそっと席を立ち、篠田の所へと
歩いていった。
「麻里子、どうする?後は大島優子だけよ。」

はっとした顔で後ろを振り返る篠田。彼女の目に映る大堀や浦野、
そして教室にいる仲間。篠田の出す答えを待っていた。
そう、トリゴヤと折井がやられたとはいえ状況は篠田達の方が優勢だった。

篠田は自分の葛藤を抑えるかのように拳を握りしめた。
“私が見ているのはいつだって・・・ここの頂点だ。”
篠田は覚悟を決めた目つきに変えた。
もう後には引けなったところまで来ていたから―
「ああ。分かっている。」

その言葉を待っていたかのように席を立つ浦野。
そして大堀が不敵に微笑む。
「もう少しで麻里子がここの頂点よ。」

その時だった―廊下の方から聞こえて来る騒がしい声。
“ガッ!”と教室のドアが開かれる。
「篠田さん・・・!」
何かに焦るように教室へ入ってきた生徒。教室にいた生徒達の視線がその生徒へと
向けられた。篠田が生徒に問いかける。
「どうした?」

「来ました・・・・」
教室にいる誰もが、その先の言葉が何なのか一瞬で悟った。
生徒が言った。
―「大島優子が・・・」―


482 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/06(水) 20:26:46.57 ID:0eusFtFB0
2年の廊下―
“ははっ”と笑い右手で髪をかきあげる大島優子。
目の前には彼女を止めようとする2年の生徒達が道を塞ぎ、背後にはすでにやられた
生徒が何人か倒れていた。
優子が一歩前に出ると、床にすれそうなほど長いスカートがさっと揺れる。
たった1人でそこに立つ“ラッパッパ”にたじろぐ生徒。
「大島ぁ、1人で来るなんて・・・仲間がやられて頭がいかれたか?」

「そうかもな。まぁいかれてなきゃ・・・・」
不敵に笑みを浮かべながらゆっくりと前に進む優子に、別の2年が襲いかかる。
優子もまたその生徒に向かって走り出し、高く飛び上がった。
“ドカッ”と優子の飛び蹴りが生徒の胸に命中すると、飛ばされるように
生徒は壁に背中を打ち、ずるっと床に崩れ落ちた。
その生徒を見下ろし、首をコキっと鳴らした優子。
2年の生徒達の方へと振り向き、睨めつける。
「・・・・マジ女のてっぺんの椅子座れねーだろ。」
その迫力の気圧される2年は、
優子が足を踏みだすと同時に、警戒するように構える。
“お、おい・・・あれ・・”
2年達の背後のいる生徒達がざわついた。
―「篠田さんだ・・・」―
廊下の奥から浦野、大堀、そして仲間達を連れ
ゆっくりと優子の方へと歩いてくる篠田麻里子。
ファージャケットのポケットに手を入れ、先頭を歩くその姿からは
2年の頂点としての貫禄が滲みでていた。
優子の前にいた生徒達がその道を開けるように、廊下の端へと体を寄せた。
篠田が優子に近づいていく事に比例して、徐々に廊下は静けさに包まれていく。
カッ、篠田のヒールの音が止まった―
その姿を見て、優子が口角を上げ不敵に微笑んだ。
「今度は・・・こっちから会いに来てやったよ。」

篠田もまた余裕すら感じられる笑みを浮かべながら言葉を返す。
「“退屈”させなかった私に感謝しろよ。仲間がやられていく気分は最高だったか?」

「最悪だ、バーカ。ドSだな。お前。」

「はっ、そりゃ褒め言葉だ。それに・・・仲間を守れなかったのはお前の力が弱いからだ。」

「わかってるよ。だから1人で来た・・・アイツらの分も私がケリつけてやる。」

「わからねーな。負けるって分かっていて、ここに来る“意味”がよ?」
ファージャケットを脱ぎ、手に持った篠田が優子の方へとゆっくり歩み寄る。
それを脱いだ理由を知る2年の生徒達を、緊迫した空気が包みこむ。
優子もまた篠田の方へと歩いていく。
「“意味”?わからねーか。今のお前じゃ・・・・。」
サッとファージャケットを床に落とした篠田は、
“ガッ”と優子の胸ぐらを掴み見下ろす様にガンを飛ばした。

「“最後”はてめぇだ、大島優子・・・・」――

優子もまた篠田の胸ぐらを掴み、力ずくで引き寄ると
下から覗き込むように鋭い眼光で見据える。
そして優子は言った。
―「篠田?マジの意味・・・教えてやるよ。」―


485 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/06(水) 21:56:37.95 ID:0eusFtFB0
“おらぁ!!”―
掴んでいた制服から手を放すと、2人は同時に声を上げ、互いに右の拳を繰り出した。
バシッと音を立て互いの顔面に叩きまれる。
振り下ろされた篠田の拳は優子の頬へ、そして優子の拳は篠田の唇を切った。
横に向けられた顔をすぐに互いに相手の方へ向き直し、睨み合う。
「マジだぁ?てめぇにそんなもん語る資格ねぇんだよ!あぁ!?」

「・・・私は、ダチの思い背負ってあの椅子座ってんだよ?
 お前は何のために喧嘩してんだ・・・あぁ!?」 

「てめぇ…!!」
“バシッ!”篠田の拳が優子のこめかみに叩き込まれると、
優子は横へ体をふらつかせるが、すぐに体制を立て直し睨み返す。
「どれだけダチが傷つこうが・・・
 てめぇさえ“てっぺん”とれりゃいいとでも思ってんだろ?」

篠田が表情をしながら優子へと歩みよる。
凍てつくような冷たい眼光で睨む篠田。
「ああ。その通りだよ。だから何だ?知らねーよ。そんなもん。」

―“ガッ!”―
優子の蹴りを、篠田は左腕で受け止めその脚を抱え込んだ。
脚を掴まれたまま片足で立つ優子は、サッと飛び上がると
“ドカッ!!”と左のハイキックを篠田の側頭部に叩きこんだ。
一瞬の出来事だった―

床に手を着いた篠田が顔を上げ睨む。
優子もまた鋭い眼光で見下ろすと、
その右手で髪をかきあげた。
「ダチはてめぇの駒じゃねぇんだよ。根性叩き直してやるよ。」

優子を見据えたまま立ち上がり、篠田は言った。
「潰すつもりで来い。」

―“おらぁ!!”―


486 名無しさん@実況は禁止です 2013/02/06(水) 22:57:54.40 ID:DBtZmRn80
潰すつもり来たああああああああああああ

491 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/07(木) 00:44:27.24 ID:Hitc/27d0
最強対最強の喧嘩を見つめる2年の生徒達。
息を飲むようにただじっと見つめる者。その喧嘩の激しさに驚愕した表情を浮かべる者。
めったに見る事のない篠田の喧嘩をどこか嬉しそうに眺める者、様々だった。
浦野と大堀は、少し困惑と驚きが入り混じった表情で“それ”を見ていた。
「まさか、麻里子が動くとは意外だったわね。」

「ああ。麻里子“らしく”ねぇな・・・」

浦野と大堀の耳に入ってく鈍い音。何発か殴り合い、互いの顔には傷が出来ていた。
“ドカッ”
背中を壁に打った篠田に向かって、優子が勢いをつけるように走りだす。
「・・・うぅ!!」とうめき声を上げた篠田。
優子の膝蹴りが腹部にめり込んでいる。
苦痛で顔を歪めた篠田もまた、優子の制服を掴み腹に膝蹴りを叩きこみ
その小さな体をくの字に曲げさせた。

篠田は両手を組みそれを頭上より高く上げると、
それを優子の背中に振り下ろした。
“ドカッ”
優子が地面に手を着くと、すぐにその顔面へ
ボールを蹴るような蹴りが繰り出された。
ザッと音を立て、篠田のヒールが優子の頬を切る。
優子はその傷を気にする事もなく、手を着いたまま体を回転させ、
弧を描くような足払いを篠田の足首に入れた。
“くっ!!”
体をよろめかせながら地面に片手を着いた篠田。
それと同時に立ち上がった優子が篠田の顔面に拳を振り下ろす。

バシッ!―
篠田を床に叩き落とすような優子の拳は、その顔面を捉え
両手と膝を床に着かせた。
頬や唇、額から血を滲ませる篠田が、優子の方へと振り向き
キッと睨めつけた。
「てめぇ・・・・。」

頬や唇から血を流し、拳を返り血に染めた手で
優子は髪をかきあげ不敵に微笑む。
「あははっ、エンジンかかってきたよ。」


492 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/07(木) 00:45:26.32 ID:Hitc/27d0
その言葉から感じられた優子の余裕。それに苛立ちを見せる篠田。
「何笑ってやがる?・・・」

「いや~強い奴と戦うのってやっぱ面白ぇなと思ってさ。」

篠田がゆっくりと立ち上がると、ゆらっと体をふらつかせる。
それを見た浦野と大堀が一瞬、眉間に皺をよせた。2人が顔を合わせる。
すっと後ろを振り向き、何も言わず教室の方へと歩いていった大堀―

それに気付く事もなく、篠田はただ優子を見据えている。
“こいつ・・・・楽しんでやがる。この状況で・・・”
タイマンとはいえ、周りには篠田の仲間が大勢囲んでいる。
全員敵という状況にもかかわらず、笑っている優子の姿に篠田は驚きを隠せなかった。
優子がギュッと拳を握りしめた。
「続き始めようぜ・・・篠田?」

それに応えるように篠田も不敵に微笑み、拳を握りしめる。
「確かに・・・“ある”かもな。生きてる実感ってやつが。」
篠田にとって初めてだった。ここまで拮抗した強さを感じられる人間に出会ったのは。
“タイマン”で気持ちが高揚するという感情もまた、初めての事だった―

マジ女で死闘が繰り広げられている時だった。
ゲキカラが入院している病院で、高柳明音がいつものように
花を抱えて病室への廊下を歩いていく。
「ゲキカラさ~ん!」と言って病室のドアを開けた高柳。

「あれ?・・・いない。」

高柳の目に映る誰もいないベッド。そしてそこにあるはずの
“ROCK”のネックレスもなかった。
―「そっか・・・・。帰ったんですね・・・“あの場所に”」―


496 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/07(木) 06:28:03.80 ID:Hitc/27d0
そして、マジ女の2年の廊下で対峙している大島優子と篠田麻里子。
じりじりと互いに歩み寄る。
ザッと互いに足を踏みだし、拳を向けた。
殴られてもまた、殴り返す。それが2回ほど続けられ、
“バシッ”と互いの拳が入った時だった。
優子が体をよろめかせながら一歩後ずさりしたと同時に、
篠田の膝がガクっと崩れかけた。床を踏みしめそれを堪えた篠田が顔を上げる。
その目に映った“大堀恵の姿”。
「お前・・・!!」

「あ?」と言って優子が後ろを振り返ろうとした時だった。
“バキッ!”―
“くっ・・・!”優子がザッと床に転がった。
大堀の手には、背もたれが割れた椅子があった。そしてその椅子から
木片がパラパラと落ちる。
顔の右側を押えながら、優子がゆっくりと立ち上がった。
そっと右手を顔から放し、真っ赤に染まった掌を見つめる優子。
顔から滴り落ちるように血が流れていた。
「やってくれるじゃねぇか・・・」

篠田が険しい表情を浮かべながら、大堀へと叫んだ。
「大堀・・・・邪魔すんじゃねーよ!誰がそんな事やれって言った!?」

大堀は持っていた椅子を投げ捨て、篠田を“睨む”―
「麻里子?あんた“ぬるく”なったんじゃないの?タイマンなんか
 しちゃってさ~。」

「どんな手を使っても勝つ、それがうちらのやり方だろうが。違うか?麻里子。」
浦野が大堀の方へと歩いていき、彼女の横に立つ。
篠田が2人を睨みつける。
だが、それは事実だった。トリゴヤの言葉がどこか頭に残っていた篠田は、
少しずつだが自分のやり方に疑問を抱くようになっていた。
そしてなにより、タイマンを楽しんでいた自分がいた。
「これは・・・大島優子と私のタイマンだ。お前らは邪魔するな。」

「自分だけ・・・・カッコつける気?今まで“仲間”を利用しといてさ。」
そう言った大堀が2年の生徒に視線を向ける。
「大島優子を潰せ。」

「よくわかんねぇけど、上等じゃねぇか。」
優子が身構え、篠田は2年の生徒達を鋭い眼光で見渡す。
「てめぇら止めろ。私の言う事が聞けねぇのか?あぁ!?」
2年の生徒達が怯んだ瞬間だった。
廊下の奥から聞こえてくる・・・“不気味な笑い声”。

“きゃはははっ”
その笑い声と共に、聞こえて来る悲鳴。
道をこじ開けるように、2年の生徒達が次々に殴り飛ばされていく。
その姿が見えると、浦野の表情が徐々に青ざめていった。
「・・・・ゲキカラ!!」―

「きゃはははっ、タイマンじゃないなら・・・・こっちも遠慮しないよ?」
そしてまた反対側の方からも聞こえて来る悲鳴。
同じく次々に2年の生徒達が“おらぁ!!”という声と共に
倒されていった。
新調したピンクのグローブをつけ、茶色い髪をなびかせていた。
その姿に篠田が驚いた表情を見せる。
「てめぇ・・・シブヤ!!」

「優子さん、こいつら全員潰せば・・・・うちらの勝ちっすか?」


498 名無しさん@実況は禁止です 2013/02/07(木) 09:05:33.16 ID:UaFZIgWoI
ヤバイ面白過ぎるから保守

500 名無しさん@実況は禁止です 2013/02/07(木) 11:17:40.04 ID:sWmlAZJwO
やばい ワクワクする

508 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/07(木) 19:00:45.90 ID:Hitc/27d0
「ははっ、お前ら・・・・。バカばっかりだな。」
優子が2人の姿を見て嬉しそうに微笑む。
ゲキカラとシブヤに挟まれた2年達。そして廊下の中央にいる
優子と篠田、そして大堀と浦野。緊張感が廊下を包む。
傷を負った大島優子とシブヤ、入院してたはずのゲキカラ、
“たった3人のラッパッパ”だが、言いようのない威圧感がそこにはあった。
そして浦野と大堀が篠田にたてついた事で、2年の仲間達は皆動揺を隠せなかった。
シブヤとゲキカラが挟みこむようにゆっくりと中央へ歩いていく。
“どけおらぁ!!” “キャハハハッ!!”
自分の目の前に立つ者をなぎ倒していく2人。
浦野の方へと近づいていくゲキカラ。
浦野は思わず後ずさる。
「て、てめぇ・・・不死身か。」

“キャハハハッ!!”
「あんたの顔~忘れてないよ?今度はさぁ。」
床に転がっていた“鉛筆”が視界に入ったゲキカラは、それをさっと拾う。
バキッとその鉛筆を折ると、ゆらゆらと両手で揺らしながら浦野に近づいていく。
「これ?な~んだ?」

「や、やめろ!!何する気だ!!」
怯えた顔でゲキカラを見つめる浦野。
不気味に微笑んでいたゲキカラの目つきが変わった―鋭い眼光になる。
「あんた・・・よくも明音の事ボコってくれたね?地獄見せてやるよ。」

その迫力に思わず床へしりもちを着いた浦野。
それを見ていた大堀が2年の生徒達へ叫ぶ。いつもの口調を変えて。
「てめぇら、何ボケッと立ってんだ!!潰しにいけや!!」

「は、はい!!行くぞ!」と言ってゲキカラとシブヤの方へと
向かって行く中央にいた2年達。
それと同時に篠田が叫んだ。
「止めろ!!」
ピタっと足を止め、振り返る生徒達。浦野の髪を掴もうとしたゲキカラもまた
その動きを止めた。
「止めだ・・・。今日はこれで終わりだ。お前らも帰れ。」
そう言って優子に視線を送る篠田。
その篠田の所へ、大堀が歩み寄る。
「ちょっと~どういう事?数はこっちのが多いんだよ?」
“ガッ”と大堀の胸ぐらを掴んだ篠田は鋭い眼光で睨みつける。
「周りの奴らの顔見てみろ。あんなビビった顔で、アイツらに勝てると思ってるのか?」

パッと篠田の手を払った大堀は篠田を睨み返す。
「ビビってんのは、あんただろうが?」
そう言って大堀は背を向け廊下の奥へと歩いて行った。
シブヤがその様子を見て叫んだ。
「コラ!逃げてんじゃねーぞ!」
すると優子がそれを止めるようにシブヤの肩を掴み、ゲキカラの方にも視線を送った。
「止めろ。私もタイマンでケリつけてぇ。今日は終わりだ。
 ゲキカラも我慢してくれ。いいな?」

「まぁ・・・優子さんがそう言うなら。」
浦野もまたすぐに腰を上げ、ゲキカラを睨みつける。
だがゲキカラもまた、一時も目を逸らす事なく凍てつくような冷たい目で浦野を睨む。
「絶対に・・・私が、地獄見せてあげるよ?」

浦野は舌打ちをすると大堀の後へと歩いて行った。
困惑した表情を浮かべる2年達に篠田が視線を向け、
「行け。」と言うと2年達はそれぞれの教室へと戻っていった・・・複雑な表情を浮かべながら。


509 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/07(木) 19:02:26.60 ID:Hitc/27d0
ゲキカラとシブヤは去っていく2年達を睨みつけると、、
優子の方へに顔を向けた。
「なんなんすか?これ?」

優子が困惑した表情を浮かべながら篠田の方へと振り向く。
「仲間割れってやつか?お前も大変だなぁ~。」

篠田が落ちていたジャケットを拾い袖を通すと優子達の方へと
振り返った。
「悪いな。タイマンの邪魔されちまったからな。
 お前らも怪我治ってないだろ。帰れ。」

「あぁ?こっちは何の問題もねぇんだよ?不死身だ、ばーか。」
シブヤが挑発するように篠田に言ったが、それを無視するように
篠田は背を向けた。
「お前らとケリつける前に、アイツらと話さなきゃならねぇ。
 それまで休戦だ、うちの奴らにも手は出さないように言っておく・・・じゃあな。」

「待てよ・・・このやろう!!」
シブヤが足を踏みだすと優子がそれを止めた。
「まぁいいじゃねぇか。あのままやってもただの乱闘になっちまう。
 勝ってもケリつけた気分にならねー。うちらも行くぞ。」
そう言って篠田の背中を見つめていた優子は、後ろを振り返り、
篠田が消えた方とは逆に歩いて行った。
「それにしてもいいタイミングで来たな、ありがとな。お前ら。」
そして優子が階段の陰にいる何者かに声をかけた。
「お前もだ。柏木。」
するとそっと影から姿を現した柏木。
「気付いていたのか。」

「まぁな。ずっと見てたろ、お前。」

「優子さん、こいつ強いっすから“ラッパッパ”にどうっすかね?」
とシブヤが言うと、ピタっと皆の足が止まった。
そう、柏木を最初にラッパッパへスカウトしたのはシブヤだった。
だが柏木を知らないゲキカラが不気味な笑みを浮かべながら歩み寄り、
爪を噛みながらじーっと柏木を凝視する。
「こいつが?ラッパッパに?きゃははっ、強いの?オマエ。」

柏木はふっと笑みを浮かべると、ゲキカラに背を向けた。
「喧嘩はあれで最後だ。ラッパッパに・・・・興味はない。」

すると柏木は・・・・

「あっ消えた。」
ゲキカラがきょとんとした顔を見せると、シブヤの方へと振り返った。
「あいつ面白いね~。変な奴~きゃはははっ。」

優子もそのゲキカラの姿を見て「あははっ」と笑みをこぼすと、
シブヤの方へと振り向いた。
「あいつがラッパッパか。ちょっと暗いけど面白いかもな!それ。」

ゲキカラがポケットから何かを取り出した。
「優子さん・・・顔から凄い血が出てる。」
そう言ってハンカチを優子に渡した。
「うわっ、忘れてたよ。すげー血じゃねぇか!!借りるぞそれ。」
ハンカチを顔の右側に当てる優子。
―「ちっと保健室行ってくる。」―


516 名無しさん@実況は禁止です 2013/02/07(木) 23:51:48.14 ID:qgf5dzaD0
サドさんの名前の由来キテター
”キケン”もクルー?


518 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/08(金) 01:01:01.86 ID:0M0+ZpZo0
こうして篠田率いる2年と“ラッパッパ”の戦争は、
一時休戦という事になった。だが期間が定められてるわけでもなく
“それ”がいつまた始まるかは誰にもわからない状況だった。
そして、傷を負った優子と、なぜか一緒に来たゲキカラが
保健室のドアを開ける。
「やっと来たわ~。ぴちぴちの1年生が。どうぞ入ってちょうだい。」
気持ち悪い口調でそう言った白衣を着た男性を見て、
優子とゲキカラは困惑した表情になった。
「なんだこいつ・・・気持ちわりぃな。」

「保健教師のキケンよ。凄い傷ね~、さぁさぁベッドに座って~。」
そしてゲキカラを見るキケン。
「あら!あなたもまだ治ってないみたい。その真っ白い肌に・・・
 このオキシドールを・・・」

ゲキカラはそれを無視して優子の横に座った。
優子の額に白い綿を当てようとするキケン。
その時ゲキカラがキケンの手を掴んだ。
「あんたさ~?そっちの手に何持ってるんだよ?」

「え?」と言って動揺したキケン。
優子が鋭い眼光でキケンを睨んだ。
「てめぇ。そっちの手隠してんじゃねーよ。出さねーとぶっとばすぞ。」

そっと隠していた手を出すと、そこにはカメラがあった。
ガッとそれを奪い取ったゲキカラが、地面にそれを叩きつけ破壊した。
「あぁ~!!」と言って悲鳴を上げたキケン。
ゲキカラがキケンの胸ぐらを掴み、睨みつけた。
「優子さんの事、撮ろうとしてたの?オマエ・・・殺すよ?」

「い、いえ・・・私はどちらかと言ったらあなたの白い肌に、このオキシドールを・・・」
そう言ってゲキカラの方を見て不気味に微笑むキケン。
ゲキカラは思わず手を放し、キケンの気味の悪さに肩を震わせた。
「優子さん・・・コイツなんか怖い。」

「ああ・・・私もだ。ゲキカラ行くぞ。」
そして優子とゲキカラは保健室から出ていった。
「ああ!!待って~!オキシドールだけでも!!」
キケンの声が、廊下に響き渡った。
この日以来、ゲキカラはどんなに怪我をしても保健室に行く事はなかった。
だが、キケンはいつまでもその機会を待っている―

そして2年が動きを見せない事で、学校にしばしの平和が訪れた。
怪我を負った優子は何日か休み、病院を勝手に抜け出したゲキカラは
病院へと戻り、数日後退院した。そしてシブヤも怪我が治るまで学校をサボっていた。
そんなある日の事、マジ女とは違う場所・・・・


519 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/08(金) 01:05:42.00 ID:0M0+ZpZo0
夕暮れ時のとある公園。
キー、キーと音を鳴らしながらブランコを漕いでいる黒髪の少女。
少女の目に映る、公園で遊ぶ子供たちの姿。
少女は少し羨ましそうに微笑みながらそれを見て、ブランコを漕いでいる。
リュックを背負っているせいかあまり大きくは漕げないようだ。
そして黒いブーツのせいか靴を飛ばす事も出来ず、ただ小さく漕いでいる。
パーカーのフードを被らず、長い黒髪が風に揺れる美少女―

しばらく漕いでいると子供達の所へ母親が迎えに来たようだ。
子供達は母親に連れられ、それぞれの家へと帰って行くのだろう。
去っていく子供達の姿をどこか寂しそうな目で見つめながら、
少女はブランコを漕ぎ続けている。
すると少女は何かに気付いたように漕ぐのを止めた。
ポケットから携帯を取り出し、画面を見る。
母親からのようだ。
「麻友へ 今日はお父さんもお母さんも仕事で家に帰れそうもないから、
     夕食は1人で食べるのよ。お金は机に置いてあります。ママより」

少女はそのメールをピッと消し、携帯をポケットに入れた。
「今日は?・・・・何を言っている。いつもそうじゃないか。」
そう言って彼女は呟き再びブランコを漕ごうとした。
すると彼女の足下に1匹の子猫が寄ってきた。

「邪魔だ。あっちへ行け。」
子猫は少女の言葉が分かるはずもなく、足下にすり寄る。
まるで彼女の寂しさを分かち合うかのように。

「あっちに行けと言っている。」
少女は困った顔を見せ、パッとブランコから飛び降りた。
そして歩き出す。少女の後を付いていく子猫。

「止めろ!私に付いてくるな!」
子猫の方へと振り向き、そう言った少女。だが、子猫は少女の足下にすり寄る。
「私は寂しくなんかない!寂しくなんか・・・・」

少女の目を見つめる子猫の目もまた、何かを訴えるように潤んでいた。
そっと腰を下ろし、子猫を抱きかかえる少女。
「寂しくなんかない・・・。私は強いんだ。それなのにそんな目で見られたら・・・」

子猫の小さな体に優しく顔を埋める少女。涙を隠すように。
「私は・・・誰にも同情された事はなかった。お前だけだ・・・。」
少女の言葉に応えるように、子猫が悲しそうに泣いた。
「優しいな、お前は。そして・・・・温かい。」

その時だった―


520 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/08(金) 01:31:58.73 ID:0M0+ZpZo0
麻友の耳に聞こえてくる足音、そして怒号。誰かが追われているようだ。
息を切らしながら走ってくる1人の少女。緑のチェックのスカートを穿いている。
中学生のようだ。少しウエーブがかかったその髪が風に揺れている。
「待てこらぁ!!」と彼女を追いかける何人かの少女達。
麻友は子猫をそっと地面に置くと、
「あっちに行け。」と言って子猫を放した。

追われている少女がピタっと足を止め振り返ると、
追いかけてきた少女の1人を殴り飛ばした。
“おらぁ!!”と言ってまた1人殴り倒す。
だが公園の外からも何人か少女達の姿が見えると、少女は再び
前を向き走り出した。
少女が麻友の方へと近づいてくる。息を切らし木の陰に隠れた少女。
麻友はその少女の手を引っ張り、公衆便所の中へと入っていく。
「こっちだ。」と言ってトイレのドアを開け、戸惑う少女を押し込んだ。
麻友は何事もなかったかのように、公衆便所の入り口へと歩いていく。
そこを通りかかった少女を追う者達。
「おい!髪にウエーブかけた中学生見なかったか?」

「いいえ。見ていませんが?」
麻友がそう言うと、少女達は“ちっ”と舌打ちをして公園から去っていった。
「行ったみたいだ。もう大丈夫だよ。」
少女がトイレの中から出てきて、麻友の方へと歩いていく。
「悪い、助かった。」

「いえ、別に。」と言って麻友はブランコの方へと歩いていく。
するとまた足下にさっきの子猫が近づいてきた。
「なんだお前。まだいたのか?」
子猫の両脇を両手で持ち、高く持ち上げた麻友。
そこにさっきの少女がやってきた。
「名前くらい教えてくれよ。感謝してるんだ。」
顔に傷をつけた少女は、そう言って麻友の瞳を真っ直ぐ見つめる。

「名前ね・・・」
少女から自分の顔を隠すように子猫をまた抱き上げる麻友。

「子猫に追われる・・・・ネズミ」
麻友の顔を見ながら、子猫が“にゃー”と鳴いた。

―「そう・・・私の名前は“ネズミ”だ。」―


522 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/08(金) 01:54:11.90 ID:0M0+ZpZo0
「あははっ、なんだそれ。面白いな。」
少女が笑う。ネズミはそっと子猫を地面に置くと、
リュックから何かの本を取り出した。
「たまにはこういうのも読んだ方がいい。喧嘩ばっかりしていると、バカになる。」

「喧嘩しか取り柄がないからな。高校も“マジ女”に行くつもりだ。」
ネズミから本を受け取った少女がペラペラと本をめくった。
「なんだ?これ?」

「ヘルマン・ヘッセだ。私の好きな本さ。“車輪の下”」

「そうか、ありがとう。読んでみるよ。じゃあまたな、“ネズミ”。」
少女は背を向けネズミのもとから離れていく。
すると足下にいた子猫が、寂しそうに“にゃー”と鳴いた。
麻友は子猫の目をしばらく見つめると、少女の背中に視線を向けた。
「おい。あんた・・・・名前は?」

少女は振り返り、太陽の様な笑顔で答えた。
―「松井・・・珠理奈だ。」―

そして珠理奈はネズミのもとから去っていった。
ネズミは腰を下ろし、子猫の頭を優しく撫でた。
「お前のおかげで・・・・初めて友達ができた。」
子猫は嬉しそうに“にゃー”と応え、林の中へと消えていった・・・

松井珠理奈―のちの“センター”である。

だがこの先2人が再会を果たすのは、マジ女に入ってからの事だ。
孤独な中学生だったセンターの日々は、戦いの連続だった。
彼女はこの時の事をきっと覚えていないだろう。
この日から数日後、あまりにも過酷な運命が待っていたのだから。

のちにセンターは語る。
「この本だけが、当時の私の支えだった。これをくれた少女の名前と顔が・・・
 どうしても思い出せないんだ。」

そしてその事についてネズミが語る。
「ええ。あっしは覚えていましたよ。教えるつもりはないですね。
 今が一緒なら・・・あっしはそれでいい。今のセンターには、今のあっしがいますんで。」


557 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/09(土) 10:28:42.83 ID:HNJn19zw0
当時中学2年生だったネズミとセンター。2人の物語は1つの紙ヒコーキからまた始まる。
ネズミとセンターが公園で出会った数日後、マジ女では大きなうねりができていた。
鉄の結束と謳われた篠田が率いていた2年達は分裂した。
優子と篠田がタイマンしたあの日、篠田は邪魔をした大堀と浦野を徹底的にシメた。
血を流しながら大堀が不気味に笑い篠田に言った。
「・・・げほっ、・・・・あはっ、あははっ。私はあんたのためにやったんだけどねぇ。
 あのまま続けていたら、あんた大島優子に負けてたよ?」

「てめぇ、私が負けるわけねぇだろうが・・・その腐った目潰してやろうか?」
―「あぁ!!?」―
教室に響き渡る篠田の怒号。誰もそれを止められる者はいなかった。
篠田の着ている白いファージャケットには真っ赤な返り血がこびり付いていた。
ゆらっと立ち上がる大堀、そして机に手をかけながら立ち上がる浦野。
大堀が篠田を睨む。
「分かってもらえないようだね・・・そのつまらないプライドを守って
 またタイマン挑みなよ?
 そして、無様に負ければいい・・・・。私達は私達のやり方であいつらを潰す。」
“ガッ”と大堀の胸ぐらを掴んだ篠田。
「大島優子に手出したら殺すぞ?アイツは私が倒す。」

「戯言を・・・・」
そう言ってパッとその手を払った大堀は、傍観していた2年達に視線を送った。
「・・・・うちらに付いてきな。麻里子は1人で頑張るってさ。」

「誰のおかげで、デカい顔してマジ女に居られたか・・・わかってなかったみたいだな。」
横を通り過ぎる大堀と浦野を睨めつける篠田。

「さぁ?誰だったかな。私達の知る“篠田麻里子”は、もういない。」
篠田に背を向けたまま大堀はそう言い残し、教室から出ていった。
教室に残った者達は動揺を隠せなかった。どうしていいかわからず、
血に塗れた篠田を困惑した表情で見ていた。篠田が不敵に微笑みかける。
「・・・私はこれから1人で動く。アイツらに付きたい奴は行っていいぜ?
 ザコのケツ持ちするのはもう面倒だからな。」

“ガンッ”と椅子を蹴飛ばし、篠田もまた教室から出て行った。
2年の生徒達に迫られた選択。大堀、浦野に付くか、誰にも付かない“看板無し”
になるか。
優子と篠田のタイマンを見ていた2年達の中には篠田への不信感を抱く
者達が確かにいた。
あの時大堀が割って入らなければ篠田は危なかった、それを感じていた。
1人、また1人と大堀、浦野に付いていく2年の生徒。
そして1人になるのを恐れた生徒達もまた、今まで通り群れて生き残る道を選んだ。
最後に言った言葉から、篠田が自分達を守る可能性はないと感じたからだ。
ほとんどの生徒達が大堀と浦野に付いたなか、
篠田を裏切る事のできなかった生徒達は2年の間で孤立した。
彼女達の横を通り過ぎた篠田が言った。
「・・・・何かあったら私に言え。」―
そう言い残し、去って行った。
少しずつだが、篠田は確かに変わっていった。


560 サーモン ◆pdlO7HZYuo 2013/02/09(土) 13:44:33.64 ID:HNJn19zw0
大堀と浦野が動く可能性はまだなかった。
傷が治るまで動く事はできない。
それが分かっていた篠田は、優子の怪我が完治するのをただ待っていた。
優子もまた、それは同じだった。

互いに、静かにその時を待っていた。決着をつける時を。

2人の傷が治るのを待っていたのは、本人達だけではない。
マジ女にいる全ての者達が、その時を心待ちにしていた。
当然だった、マジ女の本当の“頂点”がこれで決まるのだから。
時間が進んでいく。近づいていく。別の、“約束の時”へと―。

そんなある日の事。
2人の怪我が治った事で、マジ女ではどっちが勝つかという話で持ち切りだった。
当の本人達もまた、それを意識し始めていた。
1人、屋上に立つ篠田麻里子―
マジ女の屋上から街の景色を1人で眺める篠田の目に、
意外な者達の姿が映った。
マジ女にいるはずのない、
灰色のセーラー服を身に纏った少女達。

―「・・・・矢場久根!!」―
校門からぞろぞろと入ってくる矢場久根の生徒達。
30人はいるだろう。それぞれバットや木刀を持ち、怒号を上げながら
全員マジ女の校庭に足を踏み入れた。
シブヤがまとめた休戦協定がこの瞬間破られる。

「・・・・ラッパッパを潰しに来たか。」

風の音と共に聞こえて来る矢場久根の怒号。
いや・・・・違う。
その声がはっきり聞こえると、篠田は不敵に微笑んだ。

狙いは・・・“私”か。

“出てこい!篠田ぁ!!”
矢場久根の生徒達の中に、以前篠田が病院送りにした生徒が何人かいた。
その姿に気付いた篠田。
「ちっ、ツケが回ってきたな・・・・」
そう言ってポケットに手を入れながら屋上から出て行く篠田。
30人を相手に1人で戦ったらどうなるか、篠田はよく分かっていた。
自分が今までしてきた事だったからだ。
無事ではすまない事を、覚悟していた。
階段を下りていくその途中―篠田は足を止めた。
「・・・・始まるぞ!」
ざわめくマジ女の生徒達の声が、篠田の耳に聞こえてきた。

始まる?狙いは私のはずだ・・・・。いったい誰が。
まさか・・・・。
生徒が叫ぶ。
―「大島優子だ!アイツ、1人でやる気だぞ!」―


562 名無しさん@実況は禁止です 2013/02/09(土) 16:43:37.06 ID:rnUYlitcO
これ映画化して欲しい



元スレ:マジすか学園-overture-

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